どうも、ゴトーだ。

俺は三度の飯より、野球が好きでな。
中でもDeNAが弱小球団からAクラス入りするまでの道のりはなかなか見ごたえがあった。
今回は「どすこい」こと山口俊について紹介したい。
そもそもなぜ野球選手なのに、どすこいなのか疑問に思う人も多いだろうから、ぜひ読んでくれ。
山口俊とは?

この一目見て、脳裏に刻み込まれるような風貌をしている男が山口俊。
2016年まで横浜DeNAベイスターズに所属していた投手だ。
生年月日は1987年7月11日で歳と案外若い。
通称「どすこい」はかなり有名で、ネット上では山口俊よりもどすこいの知名度のほうが高いかもしれない。
由来は父親が谷嵐という元幕内の力士で、山口自身もどすこいっぽい風貌をしているし、体格や投球スタイルもどすこいっぽいからだ。
もともとは公式のニックネームではなく、なんJ発祥だったのだが、今では球団公認となりテレビ放送でも使われているし、普通の若い女性ファンでも「どすこい」と呼ぶくらいになっている。
よく言えば愛されているし、悪く言えば散々ネタにされている。まあネタ要素はそれだけではないが。
187センチ、97キロと外国人投手にも負けない体格を活かした典型的なパワーピッチャー。
最速157キロを投げ、シーズンの平均球速ランキングでも常に上位に位置する男だ。
しかし同時にノミの心臓で、ランナーを出すとたちまち崩れてしまうという何というか分かりやすすぎる男でもある。
もともとは抑えの投手だったが、後に先発に転向し、色々紆余曲折があった後に今年は初めての二桁勝利を達成している。
また所属していたDeNAは初めてのクライマックスシリーズ出場が決まり、飛ぶ鳥を落とす勢いだったが、肝心の山口はクライマックスシリーズで登板せず、そのままFA宣言をして、移籍が決まってしまった。
この間の悪さも含めて山口俊の魅力だ。
ゴトー’s Eye
最速157キロのストレートに、切れ味鋭いフォークとスライダーを持ち、潜在能力の高さは、中畑、ラミレス両監督も認めていた。
しかしメンタルが尋常ではなく弱い。それゆえ格好の愛され(いじられ)キャラになっている。
速球 | ★★★★★ |
ポテンシャル | ★★★★☆ |
メンタル | ★☆☆☆☆ |
愛され(いじられ) | ★★★★★ |
山口俊の経歴
学生時代

山口は父親は元幕内力士、母親は元バスケットボール選手という、アスリート家系にして、恵まれた体を遺伝的に持って生まれている。
ちなみに父親の谷嵐(本名: 山口久)は最高位で前頭4枚目までいった力士だった。
柳ヶ浦高校では1年時から甲子園を経験している。
2年生の時には秋の明治神宮大会で優勝。
さらに3年時には春の選抜大会に出場して、1回戦で最速151キロを投げて話題になった。
この頃にはプロ注目で、世代ナンバーワン投手との呼び声も高くなる。
しかしそれからは怪我で思うようにピッチングができなくなり、最後の夏の甲子園予選では登板中に肘を痛めて降板、そのまま試合にも負けている。
2005年に横浜ベイスターズで単独1位指名を受けて、契約金9000万円で入団。
ちなみに当時のブログなどを見ると「なぜ山口ほどの投手が競合しなかったのか」とも書かれていた。
プロ入り後

1年目から将来性を買われて、登板間隔を10日以上空けることを条件に先発ローテーション入りする。(普通は中6日)
しかし、一軍では全く通用せず、基本的に打たれまくっていた。
3年目から中継ぎに転向すると、生まれ変わったように活躍し、一軍に定着。
翌年からは抑えに転向して、これまたなかなかの成績を残す。
ここから山口俊の時代が到来する。
2010年には30セーブ、2011年には34セーブ、2012年には22セーブをあげて、この年に史上最年少の通算100セーブを達成している。
(セーブとは抑えの投手の場合3点以内のリードを守りきって勝利した場合につくもの)
ちなみにこの時代のベイスターズは暗黒時代と呼ばれていて、それはまあ有り得ないほど弱いし、観客動員数もバンバン減っていた。
2011年はベイスターズが年間47勝しかしていないのに、山口が34セーブをあげているから、勝利したときにはほとんど山口が締めていたことになる。
これにより、どすこいの時代到来した…とファンも思っていたし、かくいう本人がそう思っていた。
今となっては信じがたいが、2012年のオフにはポスティングでメジャー移籍したいという意向を示していた。

しかし2013年には一気に低迷し、44試合に登板し7セーブ、防御率5.40となる。
この時のストレスは凄まじく、何と円形脱毛症になるくらいに思い悩んでいたらしい。
2014年も相変わらずダメだったが、心機一転、先発に再転向したことで生まれ変わったように勝ちまくる。
余りの勝ちっぷりに「謎の助っ人内国人・ドスコーソ」と呼ばれるくらいの生まれ変わりようだった。
ただし2015年からは再び低迷。実はそれほど極端に成績は悪くないのだが、一度打ち込まれると極度に精神的にビビってしまい、手がつけられなくなるほど打たれる印象が強かった。
2016年には監督が中畑清からラミレスに変わったことで、エースおよび開幕投手に抜擢されるも、調整試合で捻挫して開幕に間に合わず、やっぱりか…と思われたがこの年の山口は違った。
2試合完封勝利するなど、元抑え投手とは思えないほどの抜群の投球スタミナで勝ちまくり、11勝5敗、防御率2.86と先発ではキャリアハイの成績を残す。
DeNAを初のクライマックスシリーズに導く活躍をしたが、9月に右肩を痛めて結局クライマックスシリーズには登板しなかった。
メンタルの弱さ

山口の弱点であり、ここまで愛されている理由は何と言ってもそのメンタルの弱さだ。
調子が良い時は150キロを常時超えるストレートと落差の大きいフォークで完璧な投球をするのだが、一度ランナーを出すと途端に制球を乱し始める。
炎上もちょっとやそっとではなく試合を台無しにしてしまうことも多い。
傍から見ていて、これほど打たれると顔が弱気になっていくのが見て取れる選手もなかなかいない。
デカイ図体といかつい風貌に見合わぬ、そのメンタルの弱さによるギャップが何とも言えない愛くるしさにつながっており、ネットを中心にファンから愛されている。
FA交渉でもメンタルの弱さを発揮
現在山口はFA宣言をしてDeNAから他球団に移籍するべく、巨人と入団交渉をしている最中なのだが、ここでもメンタルの弱さを露呈したらしい。
堤GMによると、山口は約40分間の交渉中は終始、体をのけぞらせるように背筋をピンと伸ばしていたといい、「緊張していたと思う。今日は人柄までは(分からなかった)」。DeNAの球団事務所でFA権行使の会見をした際、山口は涙を流す一方でチーム選びの条件を細かく列挙。だがこの日は緊張のせいか、「具体的な質問はなかった」(堤GM)という。
身長187センチの恵まれた体格から剛球を連発する山口だが、気持ちの弱さから自滅するシーンも散見されてきた。クローザー時代には、ピンチで三塁から歩み寄った村田から「お前、唇が真っ青になってるぞ」と突っ込まれたことも。
誰に見られているというわけでもない交渉の席ですら、ガチガチになってしまうのが山口という男だ。
これだけ一線で活躍してきたアスリートでありつつ、面接で緊張する就活生みたいになるところが愛くるしい。
危険球
また山口は危険球が多い投手として知られていて、プロ野球の最多タイ記録である3度危険球で退場している。
特にひどかったのが2014年7月の中日との試合で、この時はなんと5球で危険球で退場。
しかもその内容が、「安打→安打→二塁打→危険球」という、いかにもなもので、ヒットを打たれていくたびに弱気になり、すっぽぬけて頭部にデッドボールを与えてしまった。
大変失礼ながら、危険球でヘルメットが吹っ飛んでしまって、頭髪がアレな和田さんの姿がちょっと面白い。
選手としての特徴
これだけだと何かバカにしてるだけで終わってしまいそうなので、真面目に山口の特徴を説明しよう。
山口の最大の武器は何と言っても速球で、最速157キロを記録している。(2016年の最速は156キロ)
平均球速ランキングでも常に上位で、概ね140キロ後半を記録していて、セ・リーグでは藤浪に次いで2位につけることが多い。
抑え時代の調子が良いときには常時150キロ以上を出していたこともあるパワーピッチャーだ。
球種は主にフォーク、スライダー、カーブで、これらの順に使用頻度が高い。
特にフォークの落差は大きく、奪三振率も高い。
これだけ見るととんでもない投手に思われるが、与四球率が高くコントロールは悪い。
そして先述したように危険球のイメージが強いことで、ノーコンピッチャーのイメージもある。
ただし2016年にはやや改善し、炎上することも少なくなって、初の2ケタ勝利を達成している。
要は潜在能力は高いけど、自滅して崩れてしまうタイプで、ドラゴンボールで言う孫悟飯タイプ。
FAで巨人入団までのゴタゴタ

FAというのはフリーエージェントのことで、一定の条件を満たした選手が12球団のどことでも契約できる状態になることを示す。
プロ野球は球団にかなり束縛される仕組みになっていて、「1軍登録日数が8年間」を超えないと他の球団に移籍することができない。(高卒選手の場合)
山口は2016年にFA権を行使して巨人に入団が決まったが、その過程で最も批判されていた選手でもある。
それは元から山口がネタにされやすいキャラだということもあるが、全体ミーティングを欠席したり、FA宣言をした時に涙を流した理由が分からないというのが原因だ。
山口自身の言い分としてはミーティングの欠席は連絡がなかったから知らなかった、ベイスターズを愛しているから離れたくなかったと言っているが、実際のところどうなのかは不明。
山口は昔から契約更改ではゴネるタイプで、金への拘りが強いとみなされているのかもしれない。
それとFA宣言の理由が「プロ野球選手としての評価を聞きたい」という、「善処します」と同じくらい信用ならない定型文で、交渉は実際には金満な巨人としか行っていなかったことから、どうせ金が欲しいんじゃないのかと思われる要因でもある。
まあプロの選手なんだから金に拘るのは当然だし、一人の人間としてみれば別に悪いことをしているわけではないと思うが、ファンからしたら無理やりお涙頂戴の展開に持っていこうとしていてうさんくさいと思ってしまうのだろう。
今年広島でMVPを獲得した新井貴浩も、FAで阪神に移籍した時の「辛いです」は未だにネタにされているし、FA宣言すると裏切り者とみなされてしまう怖いシステムでもある。
梶谷からの宣戦布告
山口は既にDeNAを離れることが決まっているが、11月30日の選手会ゴルフイベントで、梶谷や筒香らから宣戦布告されたらしい。
梶谷いわく「必死に打ち崩します。絶対に打ちますよ」。筒香も「来年からは敵になる。打つために全力を尽くすだけです」とコメント。
別に「裏切り者」と見てこのような発言になったわけではないと思うが、メディアの論調的に「梶谷の挑発」みたいに報道されているのを見て、山口はこれですっかり悪役になってしまったのだと痛感した。
まとめ
山口はネットでは屈指のいじられキャラになっているし、愛称の「どすこい」が定着しすぎて公式化してしまったほどだ。
打たれると見る見る弱気になって、制球を乱してフォアボールを連発するというわかりやすいキャラなので、まあ分からんでもないが、本人は円形脱毛症になるくらい思い悩んでいるのでちょっと可哀想な気もする。
「選手としての特徴」でも書いたように、非常に潜在能力の高い選手で、コンスタントに実力を発揮できればシーズン15勝も可能な投手だけに、新天地の巨人では躍動してほしいところだ。
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