トリプルスリーとは?歴代達成者から山田哲人の凄さを考察してみる。

どうも、ゴトーだ。

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俺は三度の飯よりトリプルスリーが好きでな。
願わくば俺もトリプルスリーができるような人間に生まれたいと思っている。

さて今回はそんなトリプルスリーについて詳細に説明してみた。
トリプルスリーは響きが好きで何度でも言いたくなる。

トリプルスリーとは?

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トリプルスリーとは1シーズンに野手成績における象徴的な3つの「3」を達成することを言う。
それは「打率3割以上、本塁打30本以上、盗塁30以上」の3つだ。

打率3割には多くのヒットを打つ必要があり、30本塁打にはスタンドまで運ぶ長打力、30盗塁には足の速さや盗塁の上手さが必要で、どれも異なる能力が求められることから非常に難しい記録とされている。

プロ野球史上で10人しか達成していない記録だが、近年では2015年に柳田悠岐と山田哲人、そして2016年には再び山田哲人が達成したことでにわかに注目を集めている。

2015年に流行語大賞受賞

2015年には柳田悠岐と山田哲人が55年ぶりに同一シーズンに2人が達成したことを受けて、流行語大賞に選ばれている。

ただこの大賞受賞には批判が大きくて、「トリプルスリーなんて野球ファン以外誰も使ってないぞ」という声も多く聞かれた。

この年にはラグビーワールドカップの躍進の象徴である五郎丸が流行語に選ばれているが、それを差し置いてトリプルスリーが流行語大賞に選ばれるのは、野球ファンと言えどもかなり疑問が残る選考だったとは思う。

また翌2016年にはカープの鈴木誠也を象徴する「神ってる」が流行語大賞に選ばれてが、これは一般人はおろか、カープファン以外ではプロ野球ファンでも使わないような言葉だったのでなおさら疑問が残るものだった。
おそらく選考委員に野球好きが多いのだろう…。

トリプルスリーの難易度

さてトリプルスリーは史上10人しか達成していないということで、難しいのは何となくわかるにせよ、具体的にどれくらい難しいのかについて言及したいと思う。
サンプルとして2016年シーズンにおいて、それぞれの条件(3割・30本・30盗塁)を何人達成しているかを調べてみた。

セ・リーグ パ・リーグ 合計
3割以上 9人 6人 15人
30本以上 4人 2人 6人
30盗塁以上 1人 3人 4人

この数字をみてもらえれば、いかに達成困難かがわかってもらえるだろう。
特にセ・リーグで30盗塁以上を記録しているのは、トリプルスリーを達成した山田哲人しかいない。

ちなみに「3割30本」を達成しているのは山田の他にはDeNAの筒香嘉智しかおらず、筒香の盗塁数は0。
また30本以上を打っているロペス、バレンティン、レアードも同様に盗塁0、唯一メヒアだけが盗塁1となっており、「30本30盗塁」のハードルの高さが伺える結果となっている。

30本以上打つスラッガーと言えば、「これぞ強打者」という感じの恰幅の良い選手ばかりで、山田のように走れる選手は非常に稀なのだ。

トリプルスリー達成者

トリプルスリーをこれまでに達成した選手の一覧はこちら。
ちなみに試合数はその選手が出場した試合数ではなく、当時のリーグの試合数になっている。

年度 選手名 球団 打率 本塁打 盗塁 試合数
1950 岩本義行 松竹ロビンス .319 39 34 140
1950 別当薫 毎日オリオンズ .335 43 34 120
1953 中西太 西鉄ライオンズ .314 36 36 120
1983 簑田浩二 阪急ブレーブス .312 32 35 130
1989 秋山幸二 西武ライオンズ .301 31 31 130
1995 野村謙二郎 広島東洋カープ .315 32 30 130
2000 金本知憲 広島東洋カープ .315 30 30 135
2002 松井稼頭央 西武ライオンズ .332 36 33 140
2015 柳田悠岐 福岡ソフトバンクホークス .363 34 32 144
2015 山田哲人 東京ヤクルトスワローズ .329 38 34 143
2016 山田哲人 東京ヤクルトスワローズ .304 38 30 143

せっかくならこれらの選手を全員紹介していきたい。
さすがに秋山幸二以前は知らないので、wikipediaを要約したものになってしまうが勘弁して欲しい。

岩本義行

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戦前から戦後のプロ野球を経験している選手。
戦後の1949年に借金の精算のために37歳でプロ野球に復帰。

1950年に選手兼監督として大活躍し、打率.319、39本塁、39盗塁で史上初のトリプルスリーを達成。
ちなみにこの年からセ・リーグが始まっており、セ・リーグの本塁打第1号を記録した人物でもある。

2008年、96歳で急性心不全で死去している。

別当薫

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別当はプロ入りが戦後の1948年となっている。
初年度からリーグトップレベルの打撃成績を残し、1950年に打率.335、43本塁打、34盗塁で、岩本と並んでトリプルスリーを達成。
またパ・リーグの初代MVP、日本シリーズの初代MVPにも選ばれた。

1999年、78歳で急性心不全で死去している。

中西太

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1952年に高卒でプロ入りし、初年度は打率.281、12本塁打で新人王を獲得。

2年目には打率.314、36本塁打、36盗塁でトリプルスリーを達成。
この時若干20歳で、これは現在に至るまで史上最年少記録。

その後1958年まで打撃主要タイトルを総なめにし、4年連続本塁打王にも輝いている伝説の打者。

1962年から選手兼任監督になるも、1969年に起きた黒い霧事件による責任を取って辞任している。
(黒い霧事件とは選手が金銭を受け取って八百長行為をしたとされるプロ野球史に残る事件)

簑田浩二

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中西太が1953年に達成、1983年に簑田浩二が達成するまで30年も空いたことで写真もカラーになってしまった。

身長174センチ、体重68センチと小柄だったため、何か一つで秀でるよりも総合面で秀でた選手になろうという目標があったとのこと。
そのため走攻守全てが一級品だった。中でも最も得意なのが守備だったという。

高校、社会人と経て1975年に南海ホークスに入団。
プロ8年目の1983年に打率.312、32本塁打、35盗塁でトリプルスリーを達成。

この時からトリプルスリーは注目される記録で、中西太から30年出ていなかったこともあって簑田自身も意識しながらの達成だった。

秋山幸二

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秋山幸二あたりになれば現在のプロ野球でも監督を務める世代になるので、知っている人も多いのではないだろうか。

秋山は「どの競技をやらせてもオリンピックに行ける」と言われるほどの抜群の身体能力を買われて西武に入団。
野球留学でアメリカに渡った時はメジャーの選手も驚くほどの能力を見せており、デストラーデやブライアントなど、当時の外国人選手も秋山が最もメジャーに近いと話している。

走攻守全てが超一流だが、唯一打率だけは低く三振も非常に多い選手だった。
打率3割超えは2度しか経験していないのだが、初めて3割を超えた1989年に打率.301、31本塁打、31盗塁で達成している。

西武黄金時代を象徴する選手で、「清原 秋山 デストラーデ」のクリーンナップは歴代でも最強クラスだ。

野村謙二郎

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2014年までカープの監督を務めており、15年連続Bクラスに沈んでいた暗黒時代のカープを何とかAクラスにまで持ち上げたことで知られる。

選手としては17年間広島一筋で、90年代の広島の象徴的人物の一人。
野村もまた三拍子揃った選手だったが、打撃に関してはアベレージタイプの選手だったので、本塁打はトリプルスリー達成以外では16本塁打が最高。

1995年に打率.315、32本塁打、30盗塁でトリプルスリーを達成している。

金本知憲

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今となっては阪神のイメージが強いが、活躍した期間は広島の方が長く、トリプルスリーの達成も広島時代。

全盛期にはリーグ屈指のパワーヒッターだったが、当初は非力で「転がして足を活かせ」と呼ばれるほどで、むしろ足の速さがウリの選手だった。
そこから地道な筋力トレーニングによってパワーヒッターへと成長した。

3割、30本はほぼ毎年のように達成していたが、盗塁が30に達したのは2000年のみ。
この年に打率.315、30本塁打、30盗塁でトリプルスリーを達成している。

シーズン最終戦でホームランを打って30本塁打に乗せるなど劇的な展開でもあった。

松井稼頭央

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この先は現役選手のカテゴリーになってくる。
松井稼頭央は2017年シーズンで42歳になるが楽天で現役を続けている。

身長177センチと小柄でもともとは俊足巧打の選手だったが、天性の身体能力と筋力トレーニングによって鍛えたパワーによって本塁打数を増やした。

2002年に打率.332、36本塁打、33盗塁でトリプルスリーを達成。
史上初の2年連続の達成にも期待がかかり、打率.305、33本塁打と打撃成績はクリアしたものの、13盗塁だったため2年連続とはならなかった。

メジャーに行く前は松井秀喜よりも前評判が高く、鮮烈デビューとなったイチロー並の成績が期待されていたが、早々にセカンドにコンバートされるなど通用しなかった時の衝撃は凄まじかった。

柳田悠岐

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高い身体能力と日本人離れしたスイングと飛距離から、ブレークする前から「こいつはヤバイ」と囁かれていた。

プロ入り3年目の2011年辺りから頭角を表し、2014年にブレークしたものの、本塁打は15と案外伸びなかった。
翌2015年には本塁打数を伸ばし、打率.363、34本塁打、33盗塁でトリプルスリーを達成。

何気にシーズン最多安打を記録した秋山翔吾よりも打率が高く、首位打者を獲得している。
188センチ、93キロと大柄ではあるが、俊足を活かした盗塁も持ち味の一つ。

2016年は序盤から四球続きだったこともあり、本塁打が伸びずにトリプルスリー達成はならなかった。

山田哲人

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180センチ、76キロとプロ野球選手としては細身ながら、本塁打を量産する不思議な選手。

2014年から頭角を表し、日本人右打者のシーズン最多安打となる193安打を記録。
翌2015年には三冠王も現実味を帯びるほど打撃成績が良く、打率.329、38本塁打、34盗塁でトリプルスリーを達成。

さらに2016年にも打率.304、38本塁打、30盗塁で史上初の2年連続トリプルスリーとなった。
終盤デッドボールによる故障から調子をかなり落として、打率3割を切りそうになるほど不調だったが、最後は何とか凌ぎきった。

惜しくも達成できなかった選手

史上10人しか達成していないトリプルスリーだが、惜しくも達成できなかった選手が何人かいるので紹介しよう。

川上哲治

5度の首位打者を獲得し、卓越した打撃技術から「打撃の神様」と呼ばれた。
また巨人の監督としても史上初の「V9」(9年連続セ・リーグ制覇)を達成するなど、プロ野球界の神様的存在。

そんな川上だが、1950年に打率.313、29本塁打、34盗塁で、トリプルスリーまであと1本塁打足りなかった。

青田昇

青田は1度の首位打者、5度の本塁打王を獲得しており、成績だけ見ると打撃を得意とした選手のようだ。
川上と同じく1950年に打率.332、33本塁打、29盗塁で、トリプルスリーまであと1盗塁足りなかった。

小鶴誠

小鶴誠はパワプロ8のサクセス「伝説最強戦」で4番を打っていたことで知っている人も多いかもしれない。
川上、青田と同じく1950年に打率.355、51本塁打、28盗塁で、トリプルスリーまであと2盗塁足りなかった。

この年の161打点、143得点、376塁打は今なお破られていないプロ野球記録でもある。

長嶋茂雄

プロ野球史上最大のスター選手。
若い人はもう長嶋茂雄を知らない世代になったのかもしれない。

新人の1958年に打率.305、29本塁打、37盗塁で、トリプルスリーまであと1本塁打の成績を残す。
ちなみにこの年にホームベースを踏み忘れて本塁打が取り消されており、もし踏んでいれば新人でのトリプルスリー達成だった。

しかしこういうところこそ長嶋茂雄のスター性でもある。

1950年に固まっている理由

1950年にはトリプルスリー達成者が2人、惜しかった選手が3人固まっているがこれは偶然ではない。
というのも1948年9月~1950年まで「ラビットボール」と呼ばれる飛ぶボールが採用されていたからだ。

戦後間もなくまでは機械が導入されておらず、ボールも手作りだったのだが、この時から機械導入により、電気乾燥機で湿気を飛ばすなど質の高い球を製造できるようになり、飛ぶボールへと変わった。
しかし1950年を最後に反発力が見直されてラビットボールは終了した。

ちなみになぜ飛ぶボールを「ラビットボール」と呼ぶのかというと、うさぎが跳ねるように飛距離が上昇する現象のことを皮肉っているため。

メジャーでのトリプルスリー

メジャーリーグでは22人がこれまでにトリプルスリーを達成している。

複数回達成した選手は3人。
バリー・ボンズが1990年、1992年、1996年に3度。
ウラジミール・ゲレーロが2001年、2002年に2度。
ライアン・ブラウンが2011年、2012年に2度達成している。

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