どうも、ゴトーだ。

残念ながら俺は女子ジャンプについてはニワカだ。
何なら高梨沙羅と伊藤有希しか女子ジャンプの選手は知らない。
そんな筆者が高梨沙羅の実績を客観的に考察しようというのがこの記事のコンセプトになっている。
「マイナースポーツにおける選手の評価」を一つのテーマにしている。
高梨沙羅とは?

高梨沙羅は言わずとししれた、日本の女子スキージャンプの選手だ。
中学3年生の時に国際大会で優勝して以来、メディアから報道される事が増えて、今では世間的にも広く知られている。
生年月日は1996年10月8日で、現在歳だ。
筆者もそうであるように、もしかしたら「女子ジャンプ=高梨沙羅」というイメージの人が多いのかもしれない。
女子ジャンプのワールドカップでは歴代最多の46回の優勝。
2011-12シーズンから始まったワールドカップでは全5度のうち3度のシーズン優勝を達成しており、世界最高の選手と言って差し支えない
2014年のソチオリンピックでは金メダルがほぼ確実視されていたが、追い風になる不運もあって4位でメダル獲得はならなかった。
身長が高いほうが有利と言われているスキージャンプにおいて、身長は152センチと小柄。
ざっと上位選手を調べた所、ワールドカップ上位選手は女子でも軒並み170センチを超えているにも関わらず、152センチで戦っているのはもっと評価されるべきかもしれない。
以前はマスコミ嫌いと言われることもあり、メディアでの口数は少なかったが、それでもテレビCMでは確認する限り5社に出演している。
その他メディア出演も多数で、女子アスリートの中ではトップレベルの知名度を持つ。
高梨沙羅の経歴

高梨沙羅は北海道上川郡上川町の出身。
冬季競技の選手は競技環境の都合から、やはり北海道出身選手が多い
父親が元ジャンプ選手の高梨寛也。兄の高梨寛太もジャンプ選手として実績があり、2015年ユニバーシアード代表、現在はTBS記者を務めている。
その影響からか高梨沙羅も幼少期からスキーに取り組み、小学校2年生の頃からアルペン用のスキーでジャンプを始めている。その後、テレビの映像で山田いずみらの姿を見たことがキッカケで、少年ジャンプ団に入り、本格的に競技をスタートした。
2009年、12歳の時にはコンチネンタルカップに初出場し19位。さらに翌年には3位入賞と一気にジャンプアップを果たす。
ちなみにコンチネンタルカップとは、ワールドカップより一つグレードが落ちる国際大会のこと。
そして2011年にはオーストリアで行われたコンチネンタルカップで初優勝。
この時は若干14歳で、男女合わせても史上最年少優勝という快挙だった。
2011年からは女子ジャンプにもワールドカップが行われるようになり、2012年3月にワールドカップ第11戦で優勝。
シーズン総合でも3位入賞を果たす。
2012年にはワールドカップ16戦のうち8勝をあげて、ダントツの年間優勝。
ここから女子ジャンプでは圧倒的な強さを誇る選手として世間での知名度を一気に高めている。
その後、現在までに女子歴代最多のワールドカップ48勝、シーズン総合優勝3回を誇るトップ選手となった。
歴史が古い男子ジャンプでは歴代最多が53勝なので、早ければ今シーズン中に高梨が抜くことになると期待されている。
学業も優秀
高校は、将来海外遠征でコミュニケーションに困らないように、インターナショナルスクールに進学。
そして、早くから競技に集中する環境を作りたいとのことで、高校入学からわずか4ヶ月で高認試験に合格。
1日11時間という猛勉強をしていたそうで、インターナショナルスクールでも最も早い合格だったとのこと。
さらに2014年には日本体育大学に、普通より1年早く飛び級で入学している。
アスリートは学業は全くダメという選手も多い中で、これだけ文武両道を果たしているのは素直に凄いと思う。
高梨沙羅の実績

スキージャンプ競技者は毎年行われる、ワールドカップという大会に出場する。
女子の場合は年間19回ほど行われるのだが、年によって回数が変わることがある。
この大会の優勝回数とシーズン通じての順位が選手としての重要なキャリアになるようだ。
女子のワールドカップの歴史は浅く、2011年から始まり、現在までに5シーズンが終了している。
5シーズンで行われた合計の大会数を調べようとしたのだが、一つずつ調べると大変な時間がかかってしまうので断念した。
ただし、目安はついていて、基本的に1シーズン19回行われているが、2014年には14大会に削減され、2015年にはおそらく19大会に復活。
ただし大会は悪天候で中止されることがあるので、毎年1回ほど中止されるとみなすと、過去5シーズンで、推定85大会ほど行われている。
そして重要な指標として、推定85大会のうち高梨沙羅が優勝した回数は、なんと44大会にものぼる。
全体会の半数以上が高梨沙羅が優勝していることになり、しかもまだ10代ということもあって世間に与えるインパクトは大きかったのだろう。
相撲で言う全盛期の白鵬のような存在かもしれない。
シーズンによって意外と好不調が出るようだが、好調の時の2013-14シーズンに至っては優勝15回、準優勝2回、3位1回とまさに無敵の強さを誇っている。
昨年の2015-16シーズンも調子が良くて、優勝14回、準優勝2回となっている。
シーズン通しての総合順位は以下のようになっている。
シーズン | 順位 | 年齢 |
---|---|---|
2011-12 | 3位 | 15歳 |
2012-13 | 1位 | 16歳 |
2013-14 | 1位 | 17歳 |
2014-15 | 2位 | 18歳 |
2015-16 | 1位 | 19歳 |
2011年時には15歳だということを考えると、驚異的な成績なのがわかる。
風に左右されるジャンプ競技において、これだけ安定した成績を残すのは前例がないらしい。
2016-17シーズンの活躍
この記事を書いている段階では、まだシーズン途中ではあるが、キャリアハイのペースで勝ちまくっている。
第6戦までの成績は以下の通り。
大会順 | 日程 | 開催地 | 結果 |
---|---|---|---|
1 | 2016年12月2日 | ノルウェー | 優勝 |
2 | 2016年12月3日 | ノルウェー | 優勝 |
3 | 2016年12月10日 | ロシア | 3位 |
4 | 2016年12月11日 | ロシア | 優勝 |
5 | 2017年1月7日 | ドイツ | 優勝 |
6 | 2017年1月8日 | ドイツ | 優勝 |
現在までにワールドカップ通算49勝をあげており、通算最多のシュリーレンツァウアーの53勝まであと4勝に迫っている。
この調子を維持していれば、今シーズン中の最多記録更新は間違いないだろう。
男子ジャンプの上位選手は?

長野オリンピックでは団体で金メダルを獲得したように、90年代の日本の男子ジャンプは隆盛を極めていたことは知られている。
しかし、意外にもワールドカップにおいてシーズン総合優勝をした男子選手はいない。
何ならTOP3に入ったことも通算4回しかなかったりする。
長野オリンピックで個人で金メダルを取った船木和喜も、96-97シーズンに3位、97-98シーズンに2位。
レジェンドこと葛西紀明も92-93シーズン、98-99シーズンに3位になったのが最高で、2000年以降は誰も3位以内に入っていない。
日本の男子選手と比較してみると、高梨沙羅の強さがより際立って見える。
女子ジャンプの競技人口

雪国育ちではない人にとって、スキーと言っても旅行と兼ねて行う、少し贅沢なレクリエーションというイメージが強い。
ましてジャンプなんて普通の人は怖くてできないし、ジャンプ台を見たことがないという人の方が多いだろう。
かといって北海道でスキーをやってると意外と馴染みのある競技なのかも?という疑問もあり、実際に調べてみないとなかなか競技人口がどれくらいなのか察しがつきづらい。
まずはWikipediaを当たってみた所、競技会に出場するための必須条件である「国際スキー連盟」に登録している選手の数は、2015年時点で254人しかいないらしい。
それでも競技人口が増えているとのことで、この記事を書いている時点(2016/12/3)で調べてみたところ、登録人数は317人となっていた。ちなみに日本人では35人となっている。
一応1年で競技人口は20%以上増えてはいるので、増加傾向にあるのだろう。
実はスキージャンプの事情についてあまり良くわかっていないのだが、Wikipediaによると国際スキー連盟に登録しないと試合に出場できないということを真に受けると、競技人口は世界で317人、国内で35人ということになる。
(ただし国内の大会に出場するには、この国際スキー連盟の登録が必須かどうかによって実際に数字は大きく変わってくることになるので、絶対にこの数字というわけではない。)
- 国際スキー連盟の登録者一覧: Biographies
ちなみに定期的に国際大会に出場する選手となるとさらに減って80人ほどしかおらず、ワールドカップでもエントリーする選手が30人を割ることがあるらしい。
一定のスキルがあって国際大会にエントリーすれば出場できるという実態を鑑みるに、やはりスキージャンプはかなりのマイナースポーツであることは間違いない。
オリンピック種目への採用
女子ジャンプは2014年のソチオリンピックから正式種目に採用されているが、実は4年前のバンクーバーオリンピック時点で採用される可能性があったが見送られている。
このことに関してIOCの会長は「メダルの価値を下げたくない、安売りをしたくない」という見解を述べていたが、2011年に「以前より競技レベルがあがり、国際的普及度が上がった」ということで、正式種目に採用されたとのこと。
筆者の見解
別にこれは揶揄しているわけではないのだが、事実として言うと、高梨沙羅はそれほど高い競争を勝ち抜いている選手ではない。
倍率的に言うと東大に合格したり、激戦区から甲子園に勝ち上がったりするのと同じくらいかもしれない。
マイナースポーツによくある見解は二つあって「別に騒ぐほど凄い選手じゃない」というのと「世界でトップだし注目を集めているんだから凄いじゃないか」というものだ。
これに関してどちらが正解かということは一概に言うことはできないが、アスリートとしての成功を証明するものは、どれほど競争を勝ち抜いたことではないというのは一つ間違いなく言える。
例えば武井壮の話で言えば、現役時代に陸上の十種競技で日本一になったにも関わらず、そのことは世間の誰からも認知されなかったことにガッカリした一方で、芸能人になってマスターズで現役選手からすればさほど早くないタイムを記録した時の方が反響が大きくて嬉しかったとのこと。
逆にジュニア世代から競争が激しいサッカーで、世代ごとのトレセンに選ばれ続けてもプロになれなかったり、プロでも全く活躍できないまま引退していく選手は多い。
かといって彼らが日の目を見なかったけど結構な競争を勝ち抜いたから、アスリートとして成功したんだ、と言っても説得力がないしな。
客観的に測るとすれば人気や知名度、金銭的なもの、主観的なものでいえば充実感などが成功の尺度になるのだろうが、その観点からすれば高梨沙羅はほとんどのメジャー競技のアスリートよりも成功している。
なかなか歯切れの良い答えを出すのが難しいトピックではあるが、この辺を見解とさせていただきたい。
まとめ
2016-17シーズンも相変わらず勝ち続け、この記事を書いている段階で、ワールドカップが6戦行われ、そのうち5勝している。
まだ年齢も20歳ということもあって、まだまだ伸び盛りなのは分かるにしても、このまま行けばキャリアハイの成績になるだけでなく、今シーズン中に男女合わせてのワールドカップ歴代最多勝利になる見込みになっている。
2018年には平昌オリンピックが控えており、今の調子をキープしていれば金メダルの期待は4年前よりも高まるだろう。
また最近化粧を覚えたとのことで、急に美人になったこともあり、ルックス面で注目されることも増えてきた。色んな意味でこれからの高梨沙羅から目が離せない!
こんにちは
できる人が少ないんじゃないの?
危ないし
>sukunahikonaさん
コメントありがとうございます。
そうですね、なかなかできる環境もないですし、練習から常に命がけなので気軽にできる競技ではないからだと思います。