どうも、ゴトーだ。

俺は三度の飯よりVPSが好きでな。
月額千円ほどで、自由にカスタマイズできる環境が手に入るのは非常にありがたい。
そこで今回はVPSサービスの中でも最も知名度の高い「さくらのVPS」について紹介したい。
競合サービスとのコスパや機能面での比較や、サーバーを立ち上げてSSH接続するまでの導入方法を解説している。
さくらVPSとは?

さくらVPSとは、20周年を迎えた老舗のホスティング事業者である「さくらインターネット」が提供しているVPSサービスのこと。
さくらインターネットは、黎明期からホスティング事業を行っている。
当時は月額数千円が相場だったレンタルサーバー事業において、月額125円という破格のサービスを立ち上げるなど、リーズナブルな価格でサーバーを一般利用者を利用できるようになったのはさくらインターネットの影響が大きい。
さくらVPSは、さくらインターネットが行っていることで、VPSサービスの中でも人気・知名度共に高く、VPSを始めようという時に真っ先に選択肢に上がるサービスだ。
GREEやmixi、ニコニコ動画といったサービスも初期にはさくらインターネットを利用しており、VPSで言うとニュースアプリの大手である「Gunosy」が立ち上げ時に利用していたこともある。
利用者が多く、実績的にも申し分のない、さくらVPSだが、今回は競合サービスとの価格や機能面での比較を行っていきたい。
具体的に、さくらVPSがどのような点で優れており、逆に劣っているのかを理解した上で利用して頂ければと思う。
そもそもVPSって?
VPSとは、一台のサーバーの中に仮想化されたコンピューターを複数台同居させることで、利用者は管理者権限を持って、サーバーを安く使えるというサービス形態。
レンタルサーバーの安さと、専用サーバーの自由度を併せ持ったハイブリットのようなサービスとなっている。
導入事例

さくらVPSの公式サイトに掲載されている導入事例はこちら。
企業 | 利用方法 |
---|---|
ビットスター | 社内のグループウェアに利用 |
ランサーズ | 自社メディア「Lancersマガジン」に利用 |
アラタナ | ECサイト構築「カゴラボ」に利用 |
このように法人サービスでの運用にも使用されており、さくらVPSが商用利用に足る安定性・信頼性を持っていることがわかる。
実際にさくらVPSを使われる理由としては、価格や機能よりも、ブランドによる信頼性が最も多く挙げられるようだ。
- 参考: さくらVPSによる導入事例
価格の比較
さくらVPSは、VPS事業の先駆者ではあるが、後に様々な競合サービスが現れて価格競争が行われた結果、現在では価格的な優位はなくなっている。
「メモリ1GBのプランの月額料金」を主要なサービスと比較した結果がこちら。
サービス | 月額料金 | CPU | ストレージ |
---|---|---|---|
さくらのVPS | 972円 | 2コア | SSD 30GB / HDD 100GB |
GMOクラウド VPS | 780円 | 2コア | HDD 50GB |
お名前.com | 896円 | 2コア | HDD 100GB |
ConoHa | 900円 | 2コア | SSD 50GB |
決して突出して高いわけではないが、他のサービスが最大手のさくらVPSよりも安くするのを意識しているせいか、さくらVPSは主要サービスでは高い部類に位置する。
初期費用と無料体験
初期費用と無料体験期間の比較したものはこちら。
サービス | 初期費用(メモリ1GBプラン) | 無料体験期間 | コメント |
---|---|---|---|
さくらのVPS | 1,080円 | 2週間 | 上位プランになるほど初期費用が上がる |
GMOクラウド VPS | 4,000円 | 15日間 | プラン一律で初期費用4,000円 |
お名前.com | 0円 | 15日間 | メモリ4GBから初期費用は高め |
ConoHa | 0円 | なし | 時間割のプランあり |
初期費用と無料体験期間に関しては、各サービスそれぞれ特色があり、どこかが絶対的に優れているというわけではない。
お名前.comは初期費用無料で15日の体験期間があるが、メモリ4GB以上のプランになると一気に初期費用が高くなっている。
料金方式
さくらVPSは「月額料金」もしくは「年間一括払い」の2つの支払方法に対応している。
この料金方式はかなりオーソドックスな構成。
例外的にConoHaでは時間単位の支払いに対応しているが、その代わり無料体験期間が設定されていない。
プラン一覧
さくらVPSのプランは以下のようになっている。
メモリ | 月額料金 | CPU | ストレージ |
---|---|---|---|
512MB | 685円 | 仮想1コア | SSD 20GB |
1GB | 972円 | 仮想2コア | SSD 30GB / HDD 100GB |
2GB | 1,706円 | 仮想3コア | SSD 50GB / HDD 200GB |
4GB | 3,888円 | 仮想4コア | SSD 100GB / HDD 400GB |
8GB | 7,776円 | 仮想6コア | SSD 200GB / HDD 800GB |
16GB | 15,552円 | 仮想8コア | SSD 400GB / HDD 1600GB |
32GB | 30,240円 | 仮想10コア | SSD 800GB |
プランを選択できる幅が広く、メモリ512MBから選べるサービスは案外少ない。
PHPでちょっとしたサイトを運用する時などに、512MBプランで安く済ませることもできる。
ベアメタル(物理サーバー)もあり
さくらVPSは仮想化されたVPSの他に、物理サーバーの「ベアメタル」のプランを使用することができる。
VPSでは複数人が一台のサーバーを共有するが、ベアメタルでは一人でサーバーを専有するので、I/O処理に他利用者の影響を受けることがない。
またVPSでは仮想化するための基盤があるため、ハードウェアに若干のオーバーヘッド(劣化)が生じるが、ベアメタルではそれがないので僅かにパフォーマンスが上がるという利点がある。
料金は高めだが、パフォーマンスが安定したベアメタルとVPSのプライベート接続も可能なので、VPSやクラウド以上に安定性を求める場合は重宝されるものになっている。
ベアメタルプランのスペックと料金は以下の通り。
メモリ | 月額料金 | 初期費用 | CPU | ストレージ |
---|---|---|---|---|
8GB | 6,857円 | 48,600円 | 物理2コア | SSD 111GB |
ローカル通信が可能

さくらVPSのコンピューター間ではローカル通信で接続することができるので、VPS間の通信に遅延がほとんど発生しない。
通信回線もインターネット回線は100Mbpsなのに対して、ローカル回線は1Gbpsと高速になっているのも特徴。
ウェブサービスを展開する時に、アプリケーション層とデータベース層を分離して負荷分散を行うといったことも可能で、本格的なサーバー運用にも耐えられるようになっている。
ロードバランサーはなし
ConoHaではロードバランサーを使用できるが、さくらVPSでは対応していない。(もっともローカルネットワークがあるだけでも珍しかったりする)
代替手段としてはNginxでラウンドロビンを行うなどして、ロードバランサー用のサーバーを立てることになる。
選択できるOSの種類が多い
さくらVPSで選択可能なOSは以下の通り。
- CentOS 6 / 7
- Scientific Linux 6 / 7
- Ubuntu 12.04 / 14.04 / 16.04
- Debian 7 / 8
- FreeBSD10.3 / 11
- Fedora 24
- openSUSE42.2
- KUSANAGI…WordPress高速動作用の仮想イメージ
- KUSANAGI
競合サービスと比較しても選択できるOSの種類はかなり多くなっている。
意外とOSの種類が落とし穴になることもあり、格安VPSとして人気の「WebARENA」だとCentOSのみ標準対応で、Debian系が全く使用できなかったりする。
その点でメジャーOSを全て網羅しているさくらVPSでは、技術者の嗜好に関わらず利用することができる。
Windows Serverにも対応
VPSサービスとしては珍しく、Windows Serverにも対応しているのも特徴。
料金は倍くらい高くなってしまうが、大抵のサービスはLinuxしか扱っていないので、Windows Serverを使いたい人には数少ない選択肢となる。
東京と石狩からリージョンが選べる
さくらインターネットと言えば石狩のデータセンターに最先端技術を投入していることでも知られているが、VPSでは石狩と東京からリージョンを選択することができる。
遅延の問題を考えると東京を選ぶのが無難ではあるが、石狩のデータセンターの方に最先端のサーバーを入れることが多いらしく、ベンチマークを取ったところ石狩の方が高かったという報告もある。
ちなみに他のサービスではデータセンターの立地を明かしていないことも多いので、東京から使えるということが判明しているだけでもありがたい。
遅延について
インターネットの通信は非常に高速と言えども、情報の伝送速度は光の速さを超えられないので、物理的な距離による遅延は必ず発生する。
特に日本からのアクセスを見込む場合(ほとんどがそうだと思うが)、地理的にも人口密集的にも東京にあるリージョンのほうが遅延が少なくなる。
東京と石狩のレイテンシーは18msと公式サイトに書いてあるように、ウェブサイトを高速に表示させたい場合などは東京のリージョンを選ぶのが無難だろう。
逆に地震災害のリスクや、サーバー性能を考えると、遅延を気にしなくて良い場合は石狩の方が良いかもしれない。
まとめ
ここまで紹介してきた、さくらVPSの値段や機能の特徴は以下のようになる。
- ✕ 価格は競合サービスより安いわけではない
- ◯ 法人サービスでの利用実績もあり、信頼して利用できる
- ◯ 512MB~32GBまで、幅広いプランの中から選べる
- ◯ 高速なローカル通信を使って、負荷分散することができる
- ◯ Windowsを含むOSの選択肢の幅が広い
- ◯ リージョンが2箇所あり、遅延の少ない東京も選べる
総じて見ると、性能に対する料金は決して安いわけではないが、導入事例やリージョンの選択、ローカル通信による負荷分散など、様々な用途に応じて安心して利用できる仕組みが整っている。
「金銭的にどうしても格安VPSにしたい」
「ロードバランサーを標準機能で使いたい」
といった特別なニーズには対応できないが、「どこにするか迷ったらさくらVPS」という形で選択しても良いのではないかと思う。
さくらVPSのセットアップ
最後にさくらVPSを導入するまでの一連の流れを簡単に紹介したい。
アカウント登録

まずは、さくらインターネットのアカウントを作成する。
VPS専用のアカウントではなく、サービス全体のアカウントを作り、そこからVPSと契約するという形になる。
(※もちろん既にアカウントを持っている人は登録する必要はない)
登録時にクレジットカードなど支払情報を入力する必要はないので、そのまま項目を埋めていこう。
VPSの申込み

会員登録が完了したら、実際にVPSを申し込もう。
申込画面では、まず契約するプランと台数を選択して、支払情報の入力に進む。
銀行振込とクレジットカードのどちらかを選択するが、銀行振込だと実際に振り込まないと利用することはできないが、クレジットカードならすぐに利用できる。
初めてVPSを利用する時は2週間の無料体験期間が設けられており、その期間内に解約すれば料金は発生しないので、まずはお試しで登録するのも可能。
(ただし2週間以内に解約せず、クレジットカード支払いの場合は自動的に引き落とされてしまうので注意)
申し込みが完了したら、サーバーのセットアップが完了するまで10分ほど待機し、完了のメールが届いたら管理画面から早速利用することができる。
サーバーを起動

管理画面にログインするとこのように契約中のサーバーが表示される。
対象のサーバーをクリックすると、サーバーの情報やCPU使用率、ディスクI/Oの状況を見ることができる。初回にアクセスした時はまず、使用したいOSをインストールしよう。

インストールが開始すると、左上のインジケータが読み込み中のマークに変わるので、「稼働中」と表示されるまで1~2分ほど待機する。

このように「稼働中」に変わったら、早速サーバーを使用することができる。

SSHでログイン
(※標準のCentOSでインストールした時の例です。他のOSの場合は異なります。)
まずはSSHでログインするために、サーバーのIPアドレスを確認しよう。
IPアドレスは「IPv4」の項目の一番上に記載されているので、コピーしておく。

そうしたらターミナルを開いて、以下のコマンドを入力。
ssh root@[コピーしたIPアドレス]
するとパスワードを聞かれるので、インストール時に設定したパスワードを入力すればSSHでログインできるはずだ。
その後は各自でお好きなようにサーバーを設定して頂ければと思う。
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