2013年の発売開始から世界的なヒットが続いているPS4ですが、2016年後半に「PlayStation4 Pro」という上位モデルが販売されました。
またPS4 Proと同時に通常版も「PlayStaiton4 Slim」としてモデルチェンジしたことから、ProとSlimのどちらを購入すれば良いのか迷っている人が多いようです。
今回は「PS4 Pro」と「PS4 Slim」にどのような違いがあるのか、性能や用途を比較しながら、どちらを選べば良いのか紹介していきます。
目次
「PlayStation4 Pro」は何が違う?

PlayStation4といえば、2013年(日本では2014年)にソニー・インタラクティブ・エンタテインメントから発売された次世代ゲーム機で、発売から世界的に大ヒットし、現在までに約8100万台を売り上げています。
ゲーミングPCに匹敵するほどの高スペックながら、発売日時の価格が39,800円とリーズナブルで、世界のゲームファンから支持を集めています。
そして発売から3年が経過した2016年後半に初めてモデルチェンジが行われ、「PlayStation4 Pro」という上位モデルが新たに登場、通常モデルは「PlayStation4 Slim」として価格が安く、そして小型化しました。
これまでゲーム機はモデルチェンジをしても性能が変わることはなかったので、どちらを購入すれば良いか迷っている人もいるのではないでしょうか。
両モデルの具体的な違いはこれから詳しく紹介しますが、まずはスペック表を掲載します。良く分からない方もいるかと思いますが、その場合は読み飛ばしてしまって下さい。
PS4 Pro | PS4 Slim | 前モデル | |
---|---|---|---|
発売日 | 2016年11月10日 | 2016年9月15日 | 2015年6月24日 |
価格 | 44,980円 | HDD500GB: 29,980円 HDD1TB: 37,980円 |
HDD500GB: 34,800円 HDD1TB: 39,800円 |
型番 | CUH-7100 CUH-7000 |
CUH-2100/2000 | CUH-1200 |
最大画質 | 3840×2160 (4k) | 1920×1080 (フルHD) | 1920×1080 (フルHD) |
CPU | AMD Jaguar 8コア 2.1GHz | AMD Jaguar 8コア 1.6GHz | AMD Jaguar 8コア 1.6GHz |
GPU | 4.20 TFLOPS, AMD Radeon based graphics engine | 1.84 TFLOPS, AMD Radeon based graphics engine | 1.84 TFLOPS, AMD Radeon based graphics engine |
メインメモリ | 8GB (帯域幅:218GB/s) |
8GB (帯域幅:176GB/s) |
8GB (帯域幅:176GB/s) |
HDD | 1TB | 500GB / 1TB | 500GB / 1TB |
サイズ | 295mm×55mm×327mm | 265mm×39mm×288mm | 275mm×53mm×305mm |
重さ | 3.3kg | 2.1kg | 2.5kg |
消費電力 | 最大310W | 最大165W | 最大250W |
入出力 | Super-Speed USB (USB 3.1 Gen1) ポート×3 AUXポート×1 |
Super-Speed USB (USB 3.1 Gen1) ポート×2 AUXポート×1 |
Super-Speed USB (USB 3.0) ポート×2 AUXポート×1 |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac(2.4GHz, 5GHZ) | 802.11 a/b/g/n/ac(2.4GHz, 5GHZ) | 802.11 b/g/n(2.4GHz) |
カラー | ジェット・ブラック グレッシャー・ホワイト |
ジェット・ブラック グレッシャー・ホワイト |
ジェット・ブラック |
端的に言うと…
PS4 Proの場合
- 値段は上がったけど性能が上がってサクサク動くようになる
- フルHDの4倍にあたる4Kに対応したので、4Kテレビでは異次元のグラフィックに!
- 4Kテレビがなくてもグラフィックが向上するタイトルも
PS4 Slimの場合
- 性能は変わらないけど値段が安くなり、小型化もして良いこと尽くし
- 最大電力が2/3になり、電気代が安くエコになった

大きさはやはりSlimの方が小さい
前モデルと比べてProはやや大型化し、Slimは小型化したことで、両モデルには重さで「1.2kg」とそこそこのサイズ感の違いがあります。
実際に見比べると以下のようになります。


(出典: https://www.jp.playstation.com/blog/detail/4653/20170302-ps4pro.html)
やはり一回りほどサイズの違いがありますね。Proは「29.5cm×32.7cm×5.5cm」、Slimは「26.5cm×28.8cm×3.9cm」という寸法になっています。
メモリ、CPU、GPU性能はいずれもProが上回る

- メインメモリ→容量は同じだが、転送速度が176GB/sから218GB/sにアップ
- CPU→動作性能に直結するクロック数が1.6GHz→2.1GHzにアップ
- GPU→1秒あたりの演算回数を示すTFLOPSが、1.84→4.2に大幅アップ
スマホやPCは製品ごとに性能が異なりますが、ゲーム機の場合は同じゲームをプレイした時に同じ体験が得られるように、モデルチェンジをしても性能が一定であるのが常識でした。
性能を上げるには次世代ゲーム機でというのが当たり前でしたが、PS4 Proは同じPS4でも性能が変わるという挑戦的な試みとなっています。
メモリの転送速度がアップ
少し専門的になりますが、メインメモリとは一時的なデータを貯め込む領域で、電源を消すと全てデータは消えてしまいます。反対にHDDやSSDにデータを記録すれば、電源を消してもデータは保たれます。
メモリは消えちゃうから意味がないじゃんと思うかもしれませんが、メモリはHDDよりも何千倍も読み込みが早いため、ゲームで刻一刻と切り替わるデータはほとんどすべてメモリで管理されています。
このメモリの容量が多いと、一度にたくさんのアプリを開いたり、大規模なゲームを快適にプレイできるのですが、ProもSlimもメモリ容量自体は同じです。
でもメモリの性能を表す「帯域幅」がProの方が1.2倍早く、これは基本性能としてアプリがサクサク起動したり、ゲームの立ち上げが早くなったりといった効果があります。
CPUに加え、GPUの性能が大幅アップ!
良く耳にするCPUとGPUという言葉ですが、凄く簡単に言うとどちらも計算をするための装置です。
あらゆるコンピューターの動作は最終的には計算することに集約され、それをCPUやGPUが行っているので言わばコンピューターの核ともいえる部分です。
CPUは例えるなら飛車や角で、一つ一つのコアが強力な性能を発揮するのに対して、GPUは歩のように一つ一つの力は弱いものの、徒党を組むと大変な力を発揮します。
一般的にCPUの性能の方が重視されますが、ゲームグラフィックを描画するにはGPUの力を総動員して演算しまくらないといけないので、結果的にCPUもGPUもどちらも重要です。
CPUとGPUのブランド自体はProになっても同じですが、動作性能がCPUは「1.6GHz→2.1GHz」に、GPUは演算回数を示すTFLOPSが「1.84→4.2」と大幅にアップしています。
つまり複雑なグラフィックも素早く描画できるようになったということで、後ほど紹介するようにProの方がゲームがより滑らかに動くソフトが登場しています。

ロード時間がProの方が短くなる
こちらは「モンスターハンターワールド」におけるロード時間の違いを表したものですが、PS4 Proの方がなんと30秒以上もロード時間が短いという結果になっています。
もちろん全てのゲームでここまでの違いはありませんが、基本的な動作性能が上がったことで、ゲームやアプリの立ち上げ速度が上がり、快適に遊べるようになっているのは確かです。
両モデルともWi-Fiが最新規格に対応
PS4はネット接続が必須ですし、FPSなどオンラインでは通信回線の速度はスコアに直結するので、有線接続はしなくとも速度を上げたいという人は多いでしょう。
「Pro」と「Slim」はいずれも無線LANの最新規格である「11ac」に対応しました。
これは従来の最速規格だった「11n」よりも約11.5倍ほど早く、最大通信速度が6.9Gbbpと爆速です。
ただしProやSlimにすれば無条件にWi-Fiが早くなるわけではなく、親機のルーターが11acに対応してなければなりません。対応ルーターを所持し、自宅の回線が十分に早い方はWi-Fi高速化の恩恵を受けられるでしょう。
PS4 Proはついに4Kに対応!
Proの最大の進化といえば何と言っても4Kに対応したことです。
フルHDの解像度「1920×1080」の4倍にあたる、「3940×2160」の解像度のことを4Kと言い、最近では「4Kテレビ」が徐々に広まっていることで耳にしたことがある方も多いでしょう。
PS4はこれまでフルHDまでの対応でしたが、Proになって演算能力が格段に上がったことで4Kの出力に対応し、4Kテレビでは格段にグラフィックが向上しました。
(※プレイ画面のスクリーンショットも従来はフルHDが最大でしたが、4Kに対応しています)
こちらは「ウォッチドックス2」で4KとフルHDの比較を行った動画になります。
コメント欄では「違いが分からない」と海外の方が多くコメントしていますが、YouTubeの設定を変更して4K画質に切り替えないと分かりようがありません。
実際に4K画質で出力すると結構な違いが見て取れます。(ただしYouTubeを4Kにすると非常に重くなるので、性能が高いPCでないとまともに再生できないかもしれません)


もともとのフルHDでも十分に綺麗ですが、左右を見比べてみると4Kの方がディテールがクッキリ表示されていますし、遠くのオブジェクトまでボヤけた様子が一切ありません。
これは静止画ですが、とりわけキャラクターが動くとフルHDでは当たり前にボヤけるところが、4Kではどの場面を見てもクッキリ映っており、ワンランク上のグラフィックを楽しむことができます。
また4Kと並んで新技術として注目されている「HDR」ですが、これはProでもSlimでもどちらも対応しています。
従来は影で黒潰れしたり、光が当たると白くて見えなくなってしまったところが、HDR対応によって人の目で見たかのようなリアリティある映像になります。(最近ではスマホのカメラでもHDRに対応していますね)
最近の4KテレビはHDRにも対応している事が多いので、解像度だけでなくHDRによる鮮明でリアリティあるグラフィックを楽しめるようになるでしょう。
ネイティブ4Kでなくても疑似4Kに対応
ここが少しややこしいのですが、実は多くのソフトは4K解像度で描画されていません。
4Kで描画しているものを「ネイティブ4K」、そうでないものは4Kに引き伸ばす「アップスケール」を行っています。
ソフトによってネイティブ対応はまちまちですが、最新ソフトの多くは「3200×1800」(1800p)で描画されており、それを本体が4K画質にアップスケールすることで、擬似的な4K画質になっています。
ではアップスケールしたものはフルHDと変わらないのかというとそうではなく、ネイティブ4Kと疑似4Kはさほど遜色のないグラフィックになっています。
下の画像は「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」の比較画像ですが、左がアップスケールされた4K、右がネイティブ4Kです。

よくよく見れば違いがあるのですが、パッと見でどっちがネイティブ4Kかを見分けられる人はほとんどいないでしょう。アップスケールが優秀なため、ネイティブ4Kでなくてもグラフィックの恩恵を受けられます。
フルHDへのアップスケール機能も
最近のタイトルはほとんど1080pのフルHD対応ですが、バトルフィールドなど一部のソフトは900pで描画されています。
その場合でもProがテレビの解像度に合わせて自動でアップスケールしてくれるので、4Kテレビでなくても「900p→1080p」の恩恵を受けられます。
動画配信がフルHDに対応
YouTubeにプレイ実況を投稿される方など、動画配信者にとってProの恩恵は大きいかもしれません。
PS4ではプレイ動画を簡単にYouTubeやDailyMotionに投稿したり、Twitchで生配信ができますが、Proにすることで最大画質とフレームレートの上限が高くなります。
- YouTube…「720p / 30fps」→「1080p / 60fps」
- DailyMotion…「720p / 30fps」→「1080p / 60fps」
- Twitch…「720p / 30fps」→「1080p / 30fps」
これまでフルHDで動画を投稿するには別にキャプチャーボードを購入する必要がありましたが、Proにすれば機材なしでフルHDに対応できます。動画投稿者にとっては大きな改善点と言えるのではないでしょうか。
フレームレートおよび、映像表現の向上

解像度を上げるだけでなく、PS4 Proはfpsを向上あるいは安定させられるソフトがあります。
fpsとはフレームレートのことで1秒間に表示される画像の枚数のことです。従来は30fpsが通常でしたが、最近では60fpsに対応してより滑らかに表現されることが増えてきました。
PS4 Proは「通常版では30fpsなのが60fpsに上がる場合」と「同じ30fpsだけどfpsが安定する場合」、「fpsも解像度も同じだけど映像表現が向上する場合」の3パターンがあります。
(※これらを総評して「PS4 Pro ENHANCED」と呼び、対応ソフトはこちらの公式サイトに掲載されています。)
例えば「FINAL FANTASY XV」は最大60fpsに対応し、「人喰いの大鷲トリコ」ではfpsが安定し、「トゥームレイダー」では映像表現の向上があります。
さらに分かりづらいことに、fps向上・fps安定・映像表現向上の3つはモード切替によって、どれが有効になるかが切り替わることがあり、例えばトゥームレイダーは以下の3つのモードを切り替えることができます。
- 4K解像度…ネイティブ4K・30fps・映像表現向上なし
- 高fpsモード…フルHD・60fps・映像表現向上なし
- 映像表現向上モード…フルHD・30fps・映像表現向上あり
頭が混乱してしまいそうですが、要するに「fpsが上がったり、安定したり、映像が綺麗になることがある」と覚えて頂ければと思います。
なおfpsや映像表現については4K画質かどうかとは関係がないので、これらはフルHDのテレビでも恩恵を受けることができます。
またPlayStation VRは本体が4Kに対応していませんが、Proにすることでfpsが向上・安定するソフトがあるので、VRソフトをよく遊ぶ人にもオススメです。
まとめ
ここまで長い説明を読んでいただき誠にありがとうございます。トピックがとっ散らかってしまったので、最後にまとめてProによるメリット・デメリットの一覧を掲載します。
- ◎ 最大の特徴は4K画質に対応することで、ネイティブ4Kの他に疑似4Kでの対応もあり
- ◯ 60fpsに向上したり、激しいアクションでもfpsが安定することも
- ◯ 新しいレンダリングエンジンにより映像表現が向上するソフトがある
- ◯ YouTubeやTwitchなど動画サイトにフルHDで投稿できる
- ◯ メモリやCPUの基本性能向上で読み込み速度がアップ
- ✕ サイズが大きく、値段もSlimより1万2000円高い
- ✕ 電力消費が大きく、エコではない
どちらを購入するべきかについては、PS4 Proの最大の恩恵はやはり4K対応にあるので、4Kテレビを持っていればPro、そうでなければSlimを購入をオススメします。
もちろん4Kテレビがなくても動画投稿をしたり、fpsの向上を求めるのならProでも良いですし、4Kテレビを持っていてもお金を節約したい場合はSlimでも構いません。
最終的には総合的に考えて、欲しいと思った方を購入して頂ければと思います。

ちなみにモンスターハンターやメタルギアソリッドとコラボした、専用カラーの本体も出ていますので、モンハン好きやMGS好きの方は要チェックです。
よくある質問
Slimは500GBと1TBどちらにするべきですか?
実はPS4はパッケージ版を購入しても、ゲームを始める前にゲームデータを全てインストールするので、ガッツリと容量を喰われてしまいます。容量はゲームによって変わりますが、1本で平均40GBほどなので、たくさんゲームを遊ぶ人はすぐに容量がなってしまいます。
外付けHDDを装着してもインストールデータは保存できないので、HDD容量がなくなると、自分でHDDを交換する必要があります。ですから500GBあれば十分とというわけではなく、ゲームをたくさん遊びたいなら1TBが無難です。
Proだけfps上がったらオンライン対戦だとズルくないですか?
通常版では30fps、Proでは60fpsというソフトがありますが、ソニーから開発会社へ「なるべくオンライン対戦で有利不利が出ないように統一してほしい」という通達が届いているようです。
それを必ず守らなければいけない訳ではないですが、現状ではfpsを統一しているソフトがほとんどのようです。
持ってるソフトはネイティブ4Kでしょうか?
映像表現を向上させる「PS4 Pro ENHANCED」に対応しているかどうかは、こちらの公式サイトを見れば分かります。
ただし「PS4 Pro ENHANCED」に対応していてもネイティブ4Kとは限りません。少し面倒ですが、各ソフト名で検索して調べるほかないようです。
VRは4K対応していますか?
「PlayStation VR」の最大解像度はフルHD(1080p)までなので、4Kには対応していません。ただし映像表現やfpsが向上するソフトもありますので、恩恵を受けられる可能性はあります。
コントローラーも新型ですが?
2016年9月にコントローラー(DUALSHOCKR4)も刷新されましたが、嬉しいことにSlim・Proともに新型のコントローラーが同梱されています。
もっとも従来との違いは全面にライトバーがついて、キャラクターの識別やHPが一目で分かることくらいで大きな違いはありません。
ProをSSDにすると高速になりますか?
PS4のストレージはHDDですが、より高速なSSDに自分で変更することができます。
一部ではProだけSSDにすると早くなるとも言われていますが、Proに限らず旧型でもSlimでもSSDに変更するとロード時間が大幅に早くなります。
色々と難しくて疲れました
私もそう思います。特にネイティブ4Kかどうか、2Kテレビでも微妙に恩恵がある、といったところはケースバイケースなので説明も難しいのです。