どうも、ゴトーだ。

俺は三度の飯よりボクシングが好きでな。
もちろん世界王者の試合は必ずチェックしている。
今回はライトフライ級の世界王者で「強かわいい」と呼ばれている田口良一について紹介したい。
個人的には「強かわいい」とうよりも「地味つよい」のほうがしっくり来るボクサーだ。
田口良一とは

この画像だけ見たら全くボクサーに見えない。
確かに「強かわいい」と言われるのもよく分かるな。
田口良一は1986年12月1日生まれで、現在歳。
階級はライトフライ級で約49kg。
17階級あるうちの16番目の階級で軽量級に位置する。
戦績はプロで28戦25勝(11KO)2敗1分。
2013年に日本王者になるも、初防衛戦で「怪物」井上尚弥と対戦して王座陥落。
再起戦に勝利すると2014年の大晦日に世界タイトルマッチに勝利して世界王者になっている。
防衛戦では3試合連続でKO勝利。8月には井岡一翔の盟友である宮崎亮にも勝利して、4連続防衛中だ。
風貌の割に意外と強い世界王者で、プロで叩き上げのボクサーでもある。
ゴトー’s Eye
「ファイトスタイル」の項目で紹介しているように、スキがなく意外と強い王者。
ルックスも良く、さぞかし人気も出そうだが、試合もキャラも地味なのが最大のネック。
実力 | ★★★★☆ |
ルックス | ★★★★☆ |
地味度 | ★★★★★ |
スター性 | ★★☆☆☆ |
田口良一のボクシングキャリア
プロデビューまで

この羽生結弦のような少年こそ、若かりし日の田口良一。
今時のボクシング世界王者といえば、井岡一翔にせよ井上尚弥にせよ山中慎介にせよ、大抵がアマチュアエリートなのだが、田口はアマで2戦しかしていない。
外見的にアマチュアエリートっぽさが出ているが、意外にも雑草系のボクサーなのだ。
小さい頃から体が小さくて、小学生の頃にはイジメにもあっていた。
そんな経緯で中学3年生の時に、町のボクシング教室に通ったことがボクシングの出会いとなっている。
ちなみに中学時代はSEKAI NO OWARIのSaoriと同級生だったらしい。

田口が試合に勝利した後に、中学校の同級生たちと祝勝会を開いたが、なぜか田口を祝うよりもSaoriがサイン攻めにあったようで、それもまた田口らしいエピソードでもある。
まあボクシング世界王者と言っても、大人気アーティストの人気には勝てないよな…という悲しい現実を思い知らされる。
高校時代には一度、横浜光ジムに入門したが、その時には遊ぶことを優先して半年で辞めており、卒業直前になってから本格的に始めたとのこと。
始めるキッカケはボクシング漫画の「はじめの一歩」を読んでボクシングに憧れたからだとか。
アマチュアでは2戦して2勝2RSC。(RSCというのはKOみたいなもの)
入門から2年後の2006年にプロデビューしている。
プロデビュー後
2006年にプロデビューすると、6戦全勝で全日本新人王に輝いている。
9戦目で初めて敗戦を喫するも、そこからは連勝を重ねて「最強後楽園」のトーナメントで優勝している。
これははじめの一歩で言う「A級ボクサー賞金トーナメント」で、一歩とヴォルグ・ザンギエフが戦った大会だ。

決勝では後に「商社マンボクサー」として脚光を浴びる木村悠にも勝利している。
このトーナメントで優勝したことでタイトルマッチの挑戦権を得るも、タイトルマッチではドロー。
その後1戦挟んで、タイトルマッチを行い、こちらは勝利して日本王者に輝く。
そして初防衛戦が田口にとって印象深い、あの井上尚弥との試合だ。

井上尚弥は当時まだプロ4戦目で、田口のタイトルに挑戦する立場だったが、井上の試合ということでフジテレビで全国中継され、井上が何ラウンドにKOするかが注目を集める試合だった。
ちなみに田口は井上がアマチュア時代にスパーリングをしたことがあって、その時はダウンを取られており、田口がドローになったタイトルマッチの相手も、井上はプロテストでボコボコにしている。
どちらが挑戦者か分からない試合だったが、田口は大差の判定で敗れたものの、1度もダウンすることなく、また要所要所で的確に左のフックを当てたりしてヒヤッとさせる場面もあって、むしろこの試合では勝った井上よりも負けた田口の評価のほうが上がることになった。
2014年のの大晦日には世界タイトルマッチのチャンスが巡ってきて、4度の防衛を誇るアルベルト・ロッセルから2度のダウンを奪って判定勝利。遂に世界王者になった。
ちなみにアルベルト・ロッセルは当初36歳とされていたが、試合後に39歳と判明したり、身長も3センチ以上サバ読みしていたことがバレた。
その後、3度の防衛を全てKOで防衛したことで、「田口ってかなり強いんじゃないか?」というムードが出てくる。
さらに、この田口を相手に大差で勝利した井上ってやっぱり強かったんだな、という井上再評価にもつながった。
そして4度目の防衛戦はミニマム級元世界王者で、井岡一翔の盟友である宮崎亮と対戦。

この試合は「元不良 vs 元いじめられっ子」という分かりやすい構図でそれなりに注目の集めた試合だが、特に元いじめられっ子っぽさを出すことなく普通に勝利している。
2016年大晦日にカニサレスからドロー防衛

2016年の大晦日には、ベネズエラのカルロス・カニサレスと対戦。
カニサレスは16戦16勝13KOという戦績ながら、そのほとんどの相手が噛ませ犬ということもあって本当の実力はベールに包まれていた。
試合が始まると、その実力は本物であることがわかり、アグレッシブにスピードを活かしたボクシングで、序盤は田口からほとんどのラウンドでポイントを奪う。
しかし、カニサレスは長いラウンドを戦ったことがあまりないため、スタミナに難があり、後半からは一転して田口のペースになる。最後はカニサレスが徹底したクリンチによって時間を稼ぎ、勝負は判定決着に。
判定は1者がカニサレス、1者が田口、1者がドローとする三者三様でドローとなった。
王者である田口にとっては防衛となり、不完全燃焼ではあるが、5度目の防衛に達成した。
ファイトスタイル

田口のボクシングスタイルの説明はなかなか難しい。
まず一番の特徴はライトフライ級(約49kg)という軽い階級ながら、身長166cm・リーチ172cmと体格面でアドバンテージがあるところだ。
実際これまで戦ってきた選手との試合を見ても、田口が一回り大きい印象を受ける。
かといって細長いだけではなくて、体も強く、ガードも固いので、接近戦でも問題なくこなせる。
離れても近づいてもどちらでも戦える総合的な強さがあるボクサーだ。
スピードや一発の威力はそれほどでもない、というかこのレベルにしてはむしろ低いくらいだが、相手がスピードで撹乱しようとしても、タイミングよく返す左のカウンターや的確なボディブローによって相手の良いようにさせない。
さらに試合中に左右の構えにスイッチして、臨機応変に対応する能力まである。
要はスタミナもあるし、打たれ強さもあるし、激しい打ち合いもこなせるし、対応力もあるし…でこれといった隙がない。
ただ一つ致命的なのは、ボクシングが猛烈に地味なことだ。
山中慎介や内山高志のような強烈なパンチがあるわけでも、井上尚弥のような人並み外れたスピードがあるわけでもない。
KOしても目の冴えるようなダウンはなくて、徐々にダメージを与えて削っていくスタイルなので、スカッとするような場面もそれほどない。
ルックスは良いのだが、いかんせん試合が地味なことがイマイチ人気が出ない要因だろう。
世界王者でもアルバイトしてる?
田口のことを下調べしていたら、判を押したように「田口は世界王者になってからもバイトをしていて凄い」と12個くらいのブログが同じようなことを書いていた。
こうも書かれると逆に怪しいと思って調べところ、世界王者になった直後に「バイトはまだ続ける」という発言があったのが最後で、それ以降は特に情報がなかったので今ではバイトをしていない可能性が高い。
多分書くことがなくて「バイトしてて偉い」という話に持っていきたいのだろうが、田口が「最強後楽園」で対戦した木村悠なんて男は商社マンをやりながら世界王者にまでなったから、バイトしてて偉人なら、商社マンなら神様か?とツッコミを入れたくなった。

長谷川穂積も世界王者になるまで時計店でアルバイトしていたらしいが、「アルバイトしながらなんてエライ」と言われたことで、世界王者になって十分生活できるのにやめづらくなったなんて話していたから過度に褒め称えるのはどうかと思う。
木村悠という凄い男
既に引退しており、木村悠はこんな時でないと紹介できないので、少しだけ触れておきたい。
木村悠は「商社マンボクサー」の名の通り、商社に勤めながら世界王者になった異色のボクサーだ。

当然実業団のように仕事を午前で切り上げなんてこともできないし、フルタイムで働きながらボクシングを続け世界王者になったというのが凄い。
ちなみに新卒の時に商社に入ったのではなく、プロで試合をして負けた時に「自分の芯を変えたい」ということで後から商社に入ったらしい。
ほぼ6年間休み無しで二足のわらじを履いていたらしいが、ちょっと常人には真似出来ない意志の強さだと感じた。
内山高志とジムの同門

田口良一が所属するワタナベボクシングジムといえば、内山高志が代表選手だ。
内山はハードパンチャーが武器の日本を代表するボクサーで、パウンド・フォー・パウンドランキングでも10位にランクインしたほどの実力者でもある。
もともと田口がテレビ東京で試合が放映されるようになったのも、内山と同門ということでおこぼれを預かるような形でバーターとして放映されていたのだが、内山が王座陥落してからは宮崎と日本人対決することで、田口単体でも放送を持たせることができた。
内山は見た目そのまんまに良い兄貴分で、田口は内山を慕っていてかなり仲は良いらしい。
田口が得意のボディーブローも内山直伝なんだとか。
そんな偉大過ぎる先輩の内山高志も、2016年大晦日のコラレスとのリベンジマッチに敗れたことで、いよいよ引退の可能性が現実味を帯びてきてしまっている。
これからはテレビ東京お抱えボクサーの筆頭として、田口一人で世間の視聴者の関心を獲得していかなければならないかもしれない。
まとめ
田口は「強かわいい」というニックネームの通り、ルックスも良く、実力も安定して高いボクサーなのだが、いかんせんスター性や華に欠けるところがある。
これまでは先輩の内山高志とセットになって売り出されて、徐々に人気を獲得してきたが、内山高志が引退するようなことがあれば、田口がテレ東によるボクシング中継の顔になるだろう。
世間からの関心を集めるのは、もしかしたら防衛を重ねるより難しいかもしれないが、軽量級のエースとして2017年の戦いに注目したい。
コメントを残す