どうも、ゴトーだ。

これまでレンタルサーバーの比較記事を書いてきたが、今回はリーズナブルな価格で高性能サーバーを利用できる「ヘテムル」について紹介したい。
格安サーバーではないが、ワンランク上のレンタルサーバーとして人気で、アクセス数が増えても安定稼働させたい方にはおすすめのサービスだ。
ヘテムルとは?

ヘテムルとはレンタルサーバーの有力サービスの一つで、先進的なサービス内容や高性能のサーバーマシンがウリとなっている。
月額費用は1,500円と格安レンタルサーバーと比べると高いものの、高性能による読み込み速度の早さや、多くのアクセス数でも問題なく捌けることからワンランク上のサービスとして人気を得ている。
格安レンタルサーバーの代表格としては、「ロリポップ」や「さくらのレンタルサーバー」。
ワンランク上のサーバーとしては「ヘテムル」や「エックスサーバー」などがある。
今回は特にこれらのサービスと比較しながら、どのような場面でヘテムルを使うべきなのかを理解していただければと思う。
機能のまとめ
これから特徴的な機能について、一つずつ紹介していくが、基本的なサービス内容について以下にまとめたのがこちら。
事業者 | GMOペパボ |
月額料金 | 1,500円 |
ストレージ | SSD 256GB |
サーバースペック | 128GBメモリ、20コアCPU |
マルチドメイン | 無制限 |
MySQL | 100個まで |
バックアップ | 有料オプション |
SSL | 共有SSLは無料、独自SSLは有料 |
ヘテムルの由来
おかしな名前ながら、どこか耳につくこのサービス名の由来は、公式Twitterで明かされているので、余談ではあるが紹介したい。
「ヘテムル」のサービス名の由来は、サービス作成時に弊社スタッフが帰りの電車でたまたま前に座っていたWeb制作会社の人たちがHTMLのことを「ヘテムル」といい間違えていたことから付いたサービス名です。(ひそひそ裏話)
— heteml (ヘテムル) (@heteml) 2013年7月25日
Web制作会社の人が「HTML」を読めないというのは問題だと思うが、そのせいか妙に耳に残るので個人的には好きなエピソードだ。
メインターゲット
ヘテムルのメインターゲットはレンタルサーバー初心者ではなく、既にサイトの運営にある程度慣れた中級者以上の人や、法人サイトの運用者となっている。
単純に料金だけ見れば、ロリポップやさくらの何倍もしてしまうが、パフォーマンスが高く、転送量の上限が多いため、よほど並外れてアクセスが多いサイトでなければ安定して稼働してくれる。
実際に公式サイトには導入事例として多くのコーポレイトサイトが掲載されているので、法人でも問題なく利用できるのが分かる。
月額料金
ヘテムルはプランを複数用意しているわけではないが、契約期間によって月額料金が異なる。
以下の表では、エックスサーバーと期間毎に料金を比較している。
契約期間 | ヘテムル | エックスサーバー |
---|---|---|
3ヶ月 | 1,500円 | 1,200円 |
6ヶ月 | 1,500円 | 1,100円 |
12ヶ月 | 1,500円 | 1,000円 |
24ヶ月 | 1,375円 | 950円 |
36ヶ月 | 1,000円 | 900円 |
料金で見るとエックスサーバーの方が安くなっている。
36ヶ月契約になればほとんど変わらないが、変化の激しいウェブの世界で一気に36ヶ月の契約をするのはリスキーなので、実際に契約する人はほとんどいないだろう。
ちなみに初期費用の比較はこちら。
サービス | 初期費用 |
---|---|
ヘテムル | 3,950円 |
エックスサーバー | 3,000円 |
月額料金だけでなく、初期費用もエックスサーバーの方が安い。
無料体験期間
ヘテムルでは「15日」の無料体験期間が設けられている。
エックスサーバーは10日間なので、ヘテムルの方がやや長くなっている。
ヘテムルのサーバー性能
ヘテムルの最大の特徴は「サーバー性能の高さ」にある。
2016年11月にサーバー構成を変更したばかりということもあって、「大容量128GBメモリ、20コアのCPU、ストレージは全てSSD」と業界最高水準のサーバー性能となっている。
これはレンタルサーバーの中で公開されている情報からすると、エックスサーバーと並んでトップレベルの性能で比較した表がこちら。
– | ヘテムル | エックスサーバー |
---|---|---|
CPU | 20コア | 20コア |
メモリ | 128GB | 192GB |
ストレージ | SSD 256GB | HDD 200GB |
単純にスペックだけを見ると、メモリはエックスサーバーが、ストレージはSSDかつ高容量のヘテムルが上回っていると見ることができる。
レンタルサーバーは他の利用者の影響を受けるので、なかなか性能を把握するのは難しいが、ページ下の「実効性能を調べてみた」で測定結果を掲載しているので、気になる方はどうぞ。
結論から言うと、パフォーマンスはかなり高くコスパに優れているものになっている。
転送量の上限
ヘテムルはサーバー性能と並んで、転送量の上限が高いのも特徴だ。
主要サービスとの上限を比較した結果はこちら。
(※各サービスは下位プランを対象にしています)
サービス | 転送量 |
---|---|
ヘテムル | 120GB/日 |
エックスサーバー | 70GB/日 |
ロリポップ | 40GB/日 |
さくらのレンタルサーバー | 40GB/日 |
具体的に転送量とは何かというと、「携帯回線のデータ通信量」に近いもので、サーバーからどれだけのデータを送信したかの合計値となっている。
例えば「1ページに100KBの画像が10枚掲載されている」場合、1ページ読み込む度に画像の転送量が1MBほど追加されることになる。
目安としては「1PVあたり1MBの転送量」を見積もると、ヘテムルでは1日あたり12万PVほどの転送量が許容されることになる。
エックスサーバーでは10万PVを超えるようなサイトでは転送量の上限を超えてしまい、エラーページが表示される可能性があるので、たくさんのアクセスを集めるサイトを作りたい場合はヘテムルがおすすめということになる。
サポート体制
ヘテムルのサポートはメールおよび電話に対応している。
(ちなみに電話は平日の10時~18時)
格安レンタルサーバーはコスト的に電話サポートに対応していないことが多いので、その点でヘテムルは安心して利用できるだろう。
モジュール版PHPに対応
「モジュール版PHP」とは何かについて詳しく説明すると込み入ってしまうので、結論からいうとPHPの動作性能がかなり上がることが期待されるということ。
もちろんWordPressのようなPHPで動作しているサービスの読み込み速度が上がることになる。
具体的になぜモジュール版PHPの方が早いのか気になる方は、ページ下の「モジュール版PHPの違いについて」を参照のこと。
複数サイトの運用も問題なし
マルチドメインが無制限、データベース(MySQL)が100個まで稼働できるので、複数サイトを運用しやすい環境と言える。
また転送量の上限が多いので、複数サイトの合計PVがある程度高くなっても安定して稼働するのも魅力的だ。
格安サーバーではマルチドメインやデータベースの制限が厳しいので、ヘテムルやエックスサーバーのようなワンランク上のサービスの方が適している。
まとめ
ここまで紹介してきたヘテムルの特徴についてまとめると、以下のようになる。
- ◯ 法人サイトの利用者も多く、安定した稼働に期待できる
- ◯ サーバー性能が高く、とりわけストレージがSSDなのが魅力的
- ◯ 転送量の上限が高く、1日10万PV以上のアクセスでも規制されない
- ◯ モジュール版PHPを利用できるので、WordPressなどが高速に動作する
- ✕ 格安サーバーだけでなく、エックスサーバーと比べても料金は高め
最後にヘテムルを利用すべきケースと、そうではないケースを紹介したい。
◯ アクセス数の多いサイトを高速に表示したい
個人サイトでも1日数万PVを集める方もいるように、アクセス数の大きなサイトで最もネックになるのは「転送量の上限」だ。
ヘテムルは転送量の上限が高く、目安として1日12万PVほどは問題なく捌けるので、突発的なアクセスを含めて安定稼働に期待できる。
また「高速に表示」という点では、サーバーマシンの性能が高く、またストレージがSSDであることから、ページを素早く読み込むことができる。
以下に掲載している「実効性能を調べてみた」で紹介しているように、同時接続者が多くなっても、読み込み速度はほとんど遅くならないことがわかる。
✕ とにかく安く済ませたい方
ヘテムルは格安サーバーではなく、値段的な優位はない。
とにかく値段を安く済ませたい方は「ロリポップ」や「さくらのレンタルサーバー」といった格安サーバーをオススメしたい。
高性能サーバーの中から選ぶ時は、「エックスサーバー」が良いだろう。
まとめ
さてここまでヘテムルの長所と短所について一通り紹介してきた。
格安サーバーではないので、とにかく値段を安くしたい人には向かないが、転送量の上限や高いサーバースペックを活かしてアクセス数の多いサイトの安定稼働には向いている。
もしも皆さんのブログやサイトの運用に適したサーバーであるなら、まずは無料お試しから始めていただければと思う。

補足事項
実行性能を調べてみた
ヘテムルのサーバーのカタログスペックは高いものの、レンタルサーバーでは他の利用者とサーバーを共有しているので、実際にどれくらいの性能になるのかは契約して測定してみないとわからない。
そのため筆者が実際にベンチマークを取ってみたので、その結果を紹介しよう。
ヘテムルのデフォルトのindexページに、並列でアクセスした時のレスポンス速度から測定することした。
基本的にCPUのコア数に応じて並列処理のパフォーマンスが上がるはずなので、どれだけ利用者がCPUパワーを享受できるのかを見定めたかった。
並列数 | リクエストごとの時間 |
---|---|
5 | 15.192ミリ秒 |
10 | 11.199ミリ秒 |
15 | 11.129ミリ秒 |
測定した時間は朝の10時と空いている時間とは言え、並列数が10までパフォーマンスの向上が見られたので、一人あたり使えるCPUリソースはかなり高いと見て間違いないだろう。
VPSやクラウドでこれだけのパフォーマンスを求めたら、月額1万円は覚悟しなければならないので、ヘテムルのコストパフォーマンスの高さが良く分かる結果となった。
モジュール版PHPの違いについて
これだけだと理由がよく分からない方もいるかと思うので、少し踏み込んで説明するが、専門的な内容でよく分からないという方は読み飛ばしてしまっても構わない。
PHPを動作させる手法としては、大きく分けて「CGI版」と「モジュール版」の二つがある。
ほとんどのレンタルサーバーは「CGI版」を導入しているが、ヘテムルでは「モジュール版」を利用できるのが強みとなっている。
CGI版ではWebサーバーであるApacheが、リクエストを受けたらCGIとしてPHPを別途起動するのに対して、モジュール版ではApacheの一つの機能として組み込まれている。
前者のCGI版は起動させる時にメモリを確保するので、同時アクセスが増えるとメモリ消費量が増えて性能が悪化しやすいのに対して、モジュール版ではApacheの中で処理をするのでメモリを別途確保する必要がなく、同時アクセス時に性能があまり変わらないという性質がある。
しかしモジュール版では特定のユーザーがCPUを酷使するプログラムを実行した時に、Webサーバー自体が暴走しているように見えるため、それを鎮めるにはWebサーバー自体を停止しなければならず、レンタルサーバーでは同居している他のユーザーのサイトまで停止してしまうというデメリットがある。
そこでヘテムルでは特定のユーザーによる問題を他のユーザーに波及させないように、独自のプログラムで実装したモジュール版を導入しており、それによってデメリットを抑えつつ、モジュール版の高速化の利点だけを受けられるようになっている。
解約について
ヘテムルは意外と良心的で、支払情報を入力しなくても、会員登録後にお試し期間に入ることができる。
お試し期間を経て本契約をしたくない場合、そのまま支払わずに放置すれば自動的に解約となる。
また明示的に解約したい時には、管理画面から「契約お支払い」を選択し、「解約はこちらから」というリンクをクリックすれば、すぐに解約することができる。
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