プロ野球FAの補償とは?金銭補償や人的補償の一覧、選手のランクについて紹介。

どうも、ゴトーだ。

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俺は三度の飯より野球が好きでな。
オフシーズンのFAは毎年の楽しみの一つだ。

今回はFAになると必ず話題になる「人的補償と金銭補償」について紹介したい。
なかなかマニアックなトピックだが、改めて説明するメディアも少ないので、参考になれば幸いだ。

FAとは?

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そもそもプロ野球におけるFAについてよく知らない方もいるかもしれない。
FAについての詳細な説明は以下の記事に書いてあるのだが、わざわざリンク先に飛んで読むのが面倒な人も多いと思うので、ここでも簡単に紹介しよう。

www.gamehuntblog.com

FAとはフリーエージェントのことで、「FAになる権利を持ってそれを行使する」ことで12球団のどことでも契約できる権利を得られる。

プロ野球は非常に球団側の拘束が強い仕組みになっていて、原則としてFA権を持たなければ選手が自発的に球団を離れることはできない。
例えば年俸に不満があって絶対に契約したくない、となってもその選手はプロ野球選手を引退しなければならなくなっている。

ただし1軍登録日が7年や8年を超えることで、選手はFA権を取得して、それを自由に行使することができるようになる。
(取得条件は高卒か大卒・社会人卒かで変わってくる)

選手にとってFAの魅力とは、数少ないプレーする環境を変えられるチャンスであることと、年俸が大きく上がる可能性が高いことだ。一方で金銭面以外の理由が特に見当たらない形でFAすると、古巣のファンから裏切り者扱いされることも少なくない。

残念ながら今年はDeNAの山口俊がそのような扱いを受けてしまっている。

FAになった選手は有力選手であれば、ほぼ必ず複数球団が関心を示し、主に金銭的な面で競争することになるので、年俸が2倍以上に膨れ上がることも少なくない。

そのためFAを獲得できるのは、いわゆる金満な球団に限られていて、逆に広島のように金銭的に余裕のない球団は獲得に加わることが稀だ。ちなみにここで例に挙げた広島はFA制度が始まってから、一度も選手を獲得したことがない。

有力選手はFA権を取得すればFA移籍することも少なくなく、そして獲得できる球団が限定的ともなれば、12球団の強さはどれだけ金銭で補強できるのかという勝負になりかねない。
それを緩和するための処置が「人的補償」と「金銭補償」になっている。

もっともこれがあっても今年の巨人のようにFAで3選手を獲得することもあって、果たして補償がストッパーになりえているのかは別問題ではあるが。

選手のランク

まず補償に関しては、選手のランクというものに依存している。
これは「選手が元の所属先において、年俸が何位だった」かによって決められる。

ランクには「ランクA」「ランクB」「ランクC」の3つがあり、それぞれ以下のようになっている。

ランクA 年俸が上位3位まで
ランクB 年俸が上位4位~10位まで
ランクC 年俸が上位11位以下

実はFAにおいて補償が必要になってくるのは、ランクAとランクBのみでランクCの選手は対象外となる。

獲得可能な人数

さらにややこしいことに選手のランクによって獲得可能な人数の上限が変わってくる。
基本的に同一球団が1シーズンで獲得できる人数は2人までとなっているのだが、これにはランクCの選手は適用されない。

今シーズンでいうと巨人が山口俊、陽岱鋼、森福允彦の3選手を獲得しているが、森福はランクCだったので適用外となっている。

ちなみにFA宣言した人数によっても上限が緩和されることがある。

FA選手が21人~30人 3名まで
FA選手が31人~40人 4名まで
FA選手が41人以上 5名まで

人的補償と金銭補償

さて大分前置きが長くなってしまったが、ここでようやく補償の内容について説明しよう。

FAにおける補償とは「人的補償」と「金銭補償」の2つがあり、人的補償は任意、金銭補償は必須となっている。
そして先ほども説明したように、これは選手がランクAまたはランクBの時のみに適用され、またランクAの方が手厚い補償が必要になっている。

人的補償

人的補償とはFAによる移籍元の球団が、移籍先の球団から選手を一人獲得できる権利だ。

ただし、好き勝手選べてはFAで獲得した意味がないので、「28人のプロテクト枠」というものがある。
これは移籍先の球団が手放したくない選手を28人選択することで、補償の対象外にできるものだ。それと同時に直近のドラフトで獲得した選手も対象外となる。

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代表的な人的補償の選手としては、2013年にカープからFA移籍した大竹寛の補償として、巨人から一岡竜司を広島が獲得している。
その後、一岡は広島で開花して、FA移籍した大竹寛以上に活躍してしまった。

もっともこれは稀なケースでプロテクトに漏れた選手はそれほど活躍できない事が多い。
最近でも、西武から楽天に移籍した岸孝之の人的補償は、目ぼしい選手がいないとして無しになっている。

人的補償を受けるかは任意で、欲しい選手がいなければ無理に選択する必要はない。
これを無しにした場合、後ほど説明する金銭補償が手厚くなるからだ。

金銭補償

金銭補償とは読んで字のごとく、移籍元の球団が移籍先から金銭を貰えるものだ。

これは人的補償の有無、そして選手のランクによっても変動するが、以下のようになっている。

ランクA ランクB
人的補償なし 旧年俸の0.8倍
(ただし2度目以降のFAでは0.4倍)
旧年俸の0.6倍
(ただし2度目のFAでは0.3倍)
人的補償あり 旧年俸の0.5倍
(ただし2度目以降のFAでは0.25倍)
旧年俸の0.4倍
(ただし2度目のFAでは0.2倍)

ちなみに獲得した球団は金銭補償の他にも、年俸の半額を選手に契約金として支払わなければならず、何かと出費がかさむので金満な球団ではないと取れない要因になっている。

その契約金はそのまま選手の懐に入るから、選手としてはおいしい。

過去の人的補償選手

年度 対象選手 移籍前 移籍先 補償選手
1996 河野博文 日ハム <-> 巨人 川邉忠義
2002 加藤伸一 オリックス <-> 近鉄 ユウキ
2002 前田幸長 中日 <-> 巨人 平松一宏
2006 野口茂樹 中日 <-> 巨人 小田幸平
2006 豊田清 西武 <-> 巨人 江藤智
2007 門倉健 横浜 <-> 巨人 工藤公康
2007 小久保裕紀 巨人 <-> ソフトバンク 吉武真太郎
2008 和田一浩 西武 <-> 中日 岡本真也
2008 石井一久 ヤクルト <-> 西武 福地寿樹
2008 新井貴浩 広島 <-> 阪神 赤松真人
2011 小林宏之 ロッテ <-> 阪神 高濱卓也
2012 村田修一 DeNA <-> 巨人 藤井秀悟
2012 サブロー 巨人 <-> ロッテ 高口隆行
2013 寺原隼人 オリックス <-> ソフトバンク 馬原孝浩
2013 平野恵一 阪神 <-> オリックス 高宮和也
2014 涌井秀章 ロッテ <-> ロッテ 中郷大樹
2014 久保康友 阪神 <-> DeNA 鶴岡一成
2014 鶴岡慎也 日ハム <-> ソフトバンク 藤岡好明
2014 片岡治大 西武 <-> 巨人 脇谷亮太
2014 大竹寛 広島 <-> 巨人 一岡竜司
2015 相川亮二 ヤクルト <-> 巨人 奥村展征

海外FAの場合

ところでFAには国内FAだけでなく、メジャーを含む海外球団と契約できるようになる「海外FA」もある。

日本人選手がメジャーに行く時にはポスティングシステムというものもあって、分かりづらいのだが、一部の大物選手以外のメジャー挑戦はこの海外FAを使っている。

海外FAの場合は制度が未整備なこともあって、元の球団に補償が原則として発生しない。
球団としてはポスティングシステムを使ったほうが最大2000万ドルの譲渡金が発生するのでおいしい。

まとめ

オフシーズンになると毎年話題になるFAだが、「この選手はランクCなので補償が不要」といったように前置きなくメディアで報道されていて、それがどういうことか分からない方がいるかと思い、FAの補償について説明させてもらった。

プロスポーツは抜け穴がないようにルールが案外多く、自分で調べるとなかなか収拾がつかなかったりするので、このような記事をこれからも投稿していくつもりだ。

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