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「神童」那須川天心とは?RIZINとキックの二刀流を行く天才の経歴を紹介。熱望される武尊との因縁も解説。

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どうも、ゴトーだ。

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俺は三度の飯より格闘技が好きでな。
最近はボクサーの紹介記事を書いてきたが、それと負けないくらいイチオシなのが那須川天心というキックボクサーだ。

天才高校生と呼ばれ、規格外の強さを持ったこの男の魅力を紹介したい。

那須川天心とは?

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那須川天心は1998年8月18日生まれのキックボクサーだ。現在歳と若さあふれるファイターだ。
身長162cm、体重55kgと小柄で軽量級の選手である。

そしてキックボクシング団体の「RISE」のチャンピオンとして君臨している。

まあ高校生王者といっても過去にそれなりにいたし、いつだったかK-1に出場していた藤鬥嘩裟は中学生で王者になっていたが、今では何をしているの調べても見つからない。
だからその言葉だけで惑わされてはいかん!と思って動画をみたら、間違いなく本物だった。

ジュニア世代は「天才」という言葉が独り歩きしていて、肉体的に早熟なことが理由で同世代で抜けただけですぐに天才と言われ、それで天狗になってダメになる選手は古今東西問わずごまんといる。
野球でも毎年10年に1度の逸材なんて出てくるくらいだしな。

だが、俺は初めてキックボクシングを見ていて、初めて「天才」という言葉がふさわしいと感じたのがこの那須川天心だ。
まあ今後このまま世界に羽ばたく人間なのかというと、そうとも言えないのが厳しいところなんだが、それも含めて紹介していきたい。

ゴトー's Eye

実力、将来性、スター性全てを兼ね備えたスーパースターだ。
キックボクシングがマイナーで陽の目を見ていないというのが一番の気がかりか。

将来性 ★★★★★
実力 ★★★★☆
スピード ★★★★★
スター性 ★★★★☆

那須川天心の経歴

アマチュア時代

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さすがにアマチュアのキックボクシングには疎いので、基本的にwikipediaの情報を踏襲する。

那須川天心は5歳から極真空手を初めて、小学校6年生まで続けていた。
空手というと色々種類があって分かりづらいのだが、「極真空手」というのは相手に当てていい空手だ。「寸止め空手」は伝統派空手という。

現在も162センチ55キロと小柄だが、幼少期から小さく、それでも無差別級の大会で優勝するなど際立った実力だったらしい。

小学6年生の時にはテレビでK-1を見て憧れ、キックボクシングに転向。
キックボクシングでは「天才ムエタイ少女」の伊藤紗弥や、現在K-1に出場している平本蓮といった選手と対戦している。

アマチュアの戦績は105戦99勝5敗1分37KO。
数々のタイトルを獲得していて、「ジュニアのパウンド・フォー・パウンド最強」と呼ばれていて、界隈では知られていたらしい。

プロ時代

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プロデビューしたのは2014年の7月で、15歳の時。
ボクシングの場合はプロテストを受験できるのが17歳からだが、キックボクシングではそういうのはないらしい。

RISEという団体に参戦した那須川はデビュー戦でバンタム級7位の選手と対戦して、わすか58秒でKO勝利。

プロ3戦目ではバンタム級5位の選手と対戦し、3R判定勝利。
wikipedia情報によると右足の靭帯2本が切れていたらしいが、翌月にも試合をしているので、本当に切れていたのかは定かではない。

その後は連続1RKOで勝ち進めて、プロ6戦目でRISEのタイトルマッチに臨み、その試合で2RKO勝利で16歳にして王者に輝いている。

2015年8月にはBLADEという大会のトーナメントに参戦して、そこでは1回戦でDEEP KICK王者を、2回戦でREBELS王者を、決勝でシュートボクシング王者を全てKOで倒して優勝。

日本に何人王者いるんだよ、という突っ込みどころはあるが、いずれにせよこの階級では日本トップレベルであることを証明した。

武尊戦の機運が高まる

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那須川を語る上で欠かせない選手がいる。
那須川と同じ55kg級のスター選手で、当時K-1の55kg世界王者だった武尊(たける)という男だ。

この二人は現在に至るまで対戦したことはないのだが、今でも「武尊は那須川と対戦しろ」という声が多く見られる。
普通の競技ならトップ選手同士は嫌でもシステマチックに戦わざるをえないのだが、諸問題で試合が組まれないのがキックボクシングの分かりづらいところでもあり、この記事では真面目に解説していこう。

那須川の対戦要求

那須川は先程紹介した「BLADE」という大会で優勝した後のマイクアピールで「武尊選手と戦えるなら僕はいつでもどこでもやります。K-1に乗り込んでもいい」と発言をしている。

この対戦要求に対して武尊は「世界王者である自分には対戦要求が多く来ていて、那須川はその一人に過ぎない」とかわす。

そこから那須川は武尊戦に向けて猛アピールに出る。
11月の大会では武尊がKOできなかった外国人選手との対戦を志願し、その選手を1RでKOする。

この試合後、大晦日に行われた総合格闘技イベント「RIZIN」にて武尊と対戦させてくれ、とリングサイドにいたRIZIN関係者にアピール。
さらに武尊がK-1で防衛戦を行った時には観客の中に紛れて、武尊に接触して対戦要求までしている。

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(この写真は仕込みのようにも見えるが別にそうではない)

だが武尊は「観客の一人としか思っていなかった」とかわし、K-1のプロデューサーも「そういったやり方ではなく、ジムや団体の代表に話をするのが筋」として那須川戦が行われる機運はなかった。

RIZINへの参戦を要求したが、結局のところ那須川は呼ばれることはなく、武尊だけがK-1代表として出場している。

こうした武尊やK-1サイドの対応を見た那須川はいつしか武尊戦をアピールすることはなくなり、「逃げてる相手に興味はない」と痛烈に批判し、キックボクシングファンも「武尊は逃げた」と批判している。

なぜ武尊戦を熱望するのか

キックボクシングに関心のない人からすれば、なぜ那須川がここまで武尊戦に固執するのかが分からないかもしれない。
だが、この点を抑えるとキックボクシング事情が少し見えてくるので少し触れておきたい。

「キックボクシング王者」と聞くと、「何だか強そう」と思うかもしれないが、街角で"キックボクサーを誰か一人でも知ってますか?"と聞いたらほとんどは一人も答えられないだろう。
一方でK-1という言葉になれば、魔娑斗や武蔵だったり、アーツ、サップ、チェ・ホンマンといった選手は一般にも知られているだろう。

かといってK-1がキックボクシングより選手が強いのかというと必ずしもそうではなく、K-1はキックボクシングファンではなくてもっと世間に向けたイベントとして成功したから一般的に認知されることに成功している。

実際に那須川は世間的には全く知られていないが、武尊はK-1のスターとして格闘技以外の雑誌やテレビにも出演したりと、どんどん人気・知名度を高めている。

ここから先は俺の推測になるが、那須川からすれば自分は既にキックボクシングではトップレベルにいるが、そこだけで戦っていればいつまでも世間から認知されないし、注目してくれる人の数も限られる。
そこで、もし武尊を倒せば、より大舞台でのチャンスが得られるかもしれないし、何ならキックボクシングにもっと目が向けられるかもしれない、という考えがあったのではないか。

富や名声といった話ではなく、単純にプロとしてステップアップするには武尊を倒さなければならないという意思の現れだろう。

少し穿った見方をすれば、これがもし野球やサッカーなら海外に出れば強い選手がごまんといるのに対して、キックボクシングではある程度強くなると、このようなスタンドプレーをしないとプロとして成り上がれないという側面がある。
メジャースポーツのようにヒエラルキーがしっかりしていれば、強いだけで評価してくれるのだが、キックボクシングはそれほど成熟していないということでもある。

なぜ武尊は試合を受けないのか

この点に関しては真相は定かではない。

一説には政治的な問題とも言われている。
キックボクシングが国内だけで10以上も団体が分かれているのは、伝統的に政治的な問題といわれていて、実際どのような利害関係になっているのかは部外者の俺にはさっぱりだが、きっと難しい大人の世界があるのだろう。

キックボクシングファンの中には武尊が逃げたという意見も根強い。
それは武尊が積極的に那須川とやりたがっていないことが理由なのだが、井岡がロマゴンを避けたような明確な根拠はないので、逃げたことが客観的事実としてあるわけではない。

武尊に勝てるのか?

ファンの中には「那須川が武尊とやれば絶対に勝てる」というような論調が固定化されているが、その点について少し触れてみよう。
もちろんこれはゴトー自身の見解なので普遍的な見方ではないことをまずは了承して欲しい。

まず那須川が武尊よりも優れている点として「動きの速さ」「離れた距離からの組み立て、それによる被弾の少なさ、」「蹴りの技術」などがあげられる。

武尊はガードが下がったまま相手の間合いに入るから被弾が多いし、技の一つ一つもそれほど綺麗ではないから、上手さという点では那須川の方が勝っている。

反対に武尊が優れている点としては、「パンチの威力」「攻撃のキレ」「体格差」が挙げられる。

動作の速度は那須川の方があるが、武尊はインパクトで力を入れるタイミングの取り方が上手く、キレでは武尊が上回っているように見える。
また那須川は55kgでは小柄な方だが、武尊は57.5kg級の王者でもあるので、仮に対戦するとしたら体格差が出て来るだろう。

このようにお互いに優れているところがあり、対戦したらどちらか一方が簡単に勝つ、とは言えないはずだ。
個人的にはそれほど優劣がハッキリしているわけではないと思う。

那須川天心の天才ぶりを紹介

百聞は一見に如かずなので、もしも動画を再生するほど関心を持っている方はこちらの動画を見て欲しい。
結構長い動画だが、見どころの場面から再生開始するように設定しているので、15秒ほど見れば凄さが伝わるはずだ。

もちろん動画再生するのなんて面倒だ、という人も多いはずなので、しっかり文字でも説明しよう。

まず那須川の一つの魅力は身体能力の高さにあると思っている。

天才と呼ばれてきた選手の中には、技術的な成熟が早く訪れたことで、同年代には勝てていたものの、ベースとなる運動能力が低いと成長限界に早く達してしまうことがあるが、那須川の場合は、その点もしっかり高いところが並の天才ではない所以だ。
ラッシュを仕掛けている時や下がった時にも体のバランスが崩れないし、何より手も足も早い。動きの速度はストロングポイントの一つだ。

そしてテクニックの高さは既に国内でトップレベルにある。

パンチ・キック・ヒザ全ての技に淀みがなくて、コンビネーションも満遍なくこなせる。
この歳にして老獪さもあり、相手を飲み込んでやろうという凄みもある。

さらにサウスポーというのがお得で、対人競技では普段右利きの選手に慣れてしまって、左利きの選手はそれだけで有利になる。
ボクシングでも右利きだけど、わざわざサウスポーに構える人もいるくらいだ。

ただ、なかなか強さを言葉にするのは難しいから、動画を見たほうが手っ取り早いとは思う。
こんな選手がまだ18歳というのが本当に末恐ろしい。

KNOCK OUTで最強王者をKO!

那須川はRISEの王者となり、BLADEのトーナメントでも優勝、さらに武尊との試合が叶わなかったことで、更にワンランク上を目指してKNOCK OUTという団体に参戦している。

KNOCK OUTに関しては以前に紹介記事を書いたのだが、このイベントは少し異質で、トレーディングカードゲームで有名なブシロードが運営していて、「肘・首相撲あり」の打倒ムエタイがベースになっているキックボクシングイベントだ。

RISEやK-1では「肘・首相撲なし」の分かりやすいルールなのに対して、KNOCK OUTではキックボクシング本来の「肘・首相撲あり」で強豪タイ人選手を倒していくという路線になっている。

その初戦では「ワンチャローン・PKセンチャイジム」という現役のルンピニー王者と対戦。
那須川にとっては初めての肘ありルールかつ、そのルールで世界最強とも目されている相手なので、さすがに那須川と言えども分が悪いと思われていた。

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しかし蓋を開けてみれば、序盤から那須川がスピードで圧倒し、左のストレートでグラつかせる場面も。
そしてバックスピンキックがワンチャローンの顔面にヒットして相手は失神。この以上ない形での1RKO勝利となった。

那須川が本物であることはもはや疑いようがなかったが、この試合でさらに底知れない才能を持っていることがわかる試合となった。
もはやキックボクシングという枠組みを超えてスポーツ界全体でも、抜きん出た天才であることは間違いない。

RIZINで異例の2試合連続マッチ!

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(出典: http://efight.jp/news-20161230_252858/attachment/1230_rizin_0103)

那須川は2016年末にRIZINに参戦を表明した。
RIZINとは日本唯一のメジャー総合格闘技イベントのことで、那須川が総合格闘技に挑戦することを意味している。

参戦表明をした時には総合格闘技の練習は5日ほどしか行っていなかったらしいが、12月29日にウクライナの選手とデビュー戦を行うことが決定。

この試合は対戦相手に得意の腕ひしぎ十字固めを極められ、誰もが負けを覚悟したところで、那須川が紙一重でエスケープすると、パウンドをヒットさせてKO勝利。
デビュー戦を華々しく飾り、そのままリングを降りるかと思いきや、なんとまさかの31日興行での試合を志願する異例の展開に!

腕ひしぎを極められた腕の状態が心配されたが、メディカルチェックをパスすると、31日の大会にアメリカ人選手との試合が決定。

29日の試合を見ていた相手に研究されて、徹底的に寝技に持ち込まれる展開となり、初めてグラウンドで下になるなど一筋縄では行かなかったが、なんと一瞬のスキをついてニンジャチョークを極めて対戦相手を失神させての勝利。

相変わらずの誰もが予想をしない勝ちっぷりに、格闘技ファンのみならず、お茶の間の視聴者にも衝撃を与えたはずだ。RIZIN無差別級トーナメントを制覇したミルコ・クロコップも那須川の才能に太鼓判を押していたほど。

今後もキックボクシングと総合格闘技の2足のわらじを履きながらの挑戦となるようだが、まるでプロ野球の大谷翔平のように、那須川は前例のない成功を収めるのではないかという期待感が高まってきている。

那須川の今後について

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正直、那須川について俺は過小評価していた。
この階級では最強の一人である事はわかっていたものの、「キックボクシングにおいて稀に見ぬ天才」だと思っていた。

しかしKNOCK OUTでのワンチャローン戦を見る限り、さらに一段と成長しているし、競技にかける意気込みやチャレンジャー精神の強さを見るに、「アスリート全体の中でも稀に見ぬ天才」と言っても過言ではない。

ただし、一つ留意すべきなのは早熟の選手は他競技の事例を見ても、右肩上がりの成長曲線を描けることは多くない。

例えばサッカーのジュニア世代だと日本は世界でも十分通用しているのだが、18歳を超えたあたりから、怪物のような海外勢がゴロゴロ現れて、あっという間に抜かされてしまうシーンはここ十何年と起きてきているからだ。

また、那須川は18才にして、既にこの階級では世界トップレベルであることを証明したが、那須川の未来像に見合う目標が今後作れるのかというのも課題の一つかもしれない。

人間みなそうだが、アスリートも眼前に明確な目標がなければ成長が促されないものだ。ワンチャローンを超えたことで那須川にとって次に何を見据えるか、そしてそれがワンチャローン撃破以上のモチベーションであるのかが重要になってくると考えている。

それにしても、これだけの才能をキックボクシング界は抱えたのだから、業界全体が那須川に道を示せるように成長していかなければならないかもしれない。